素敵小説

□綺麗じゃない。
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白い、
大きな花びらが、
ぼとり、と落ちる

空へ、
上へ上へと向かう
太い枝に、大きな花びらの白い花が、
ぽっかりぽっかりと咲く

あれは白木蓮
奇妙な花

ぼとり、と落ちた花びらは、いずれ腐って変色する
真っ白だなんて、
汚れると余計醜いよ、ね





それは幻想だよ、
と教えてあげたい。
おまえが俺をすきなことなど。




「おまえがすきだ」
突然だった。
土方が怖いくらい真面目な顔をしてそんなことを言う。
「は。おま、なに唐突に。まあ、俺もすきだぜ?嫌いなヤツとつるむ程俺、寛容じゃねえもの」

そうだ、こいつとは最近、よく会ってる。
いつのまにか、仲のいいトモダチ、みたいな関係になってた。
こいつとはなんだか気が合って。
だから嘘じゃない、俺はこいつを気に入ってるから。

「…違う。そんなんじゃねえんだ」
やっぱり怖い顔をして、とうとうこんなことを言った。
「おまえを好きなんだよ。付き合ってくれ」

ねえ、考えてもみてくれよ。いまのいままでトモダチと思ってたヤツが、俺を恋人にしたがっている。
頭が働かないわ、気まずくて返答に困る。
気持ちわりぃ、って腹を立てるのもちょっと違う気がしたし。
だっておまえは、気に入りのトモダチ、なのに。



永遠のような沈黙のあと、
「おまえ、男じゃん。俺に男と付き合えっていうのかよ?」
呆れたような、困ったようなそんな口調で弾かれた。
告白、なんて、初めてだったのに。

だいたい、どこでどう間違えて、おまえなんかを好きになったんだっけ。

ただ、そんな目で見ないでほしかった。
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