素敵小説
□綺麗じゃない。
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白い、
大きな花びらが、
ぼとり、と落ちる
空へ、
上へ上へと向かう
太い枝に、大きな花びらの白い花が、
ぽっかりぽっかりと咲く
あれは白木蓮
奇妙な花
ぼとり、と落ちた花びらは、いずれ腐って変色する
真っ白だなんて、
汚れると余計醜いよ、ね
*
それは幻想だよ、
と教えてあげたい。
おまえが俺をすきなことなど。
■
*
「おまえがすきだ」
突然だった。
土方が怖いくらい真面目な顔をしてそんなことを言う。
「は。おま、なに唐突に。まあ、俺もすきだぜ?嫌いなヤツとつるむ程俺、寛容じゃねえもの」
そうだ、こいつとは最近、よく会ってる。
いつのまにか、仲のいいトモダチ、みたいな関係になってた。
こいつとはなんだか気が合って。
だから嘘じゃない、俺はこいつを気に入ってるから。
「…違う。そんなんじゃねえんだ」
やっぱり怖い顔をして、とうとうこんなことを言った。
「おまえを好きなんだよ。付き合ってくれ」
ねえ、考えてもみてくれよ。いまのいままでトモダチと思ってたヤツが、俺を恋人にしたがっている。
頭が働かないわ、気まずくて返答に困る。
気持ちわりぃ、って腹を立てるのもちょっと違う気がしたし。
だっておまえは、気に入りのトモダチ、なのに。
*
永遠のような沈黙のあと、
「おまえ、男じゃん。俺に男と付き合えっていうのかよ?」
呆れたような、困ったようなそんな口調で弾かれた。
告白、なんて、初めてだったのに。
だいたい、どこでどう間違えて、おまえなんかを好きになったんだっけ。
ただ、そんな目で見ないでほしかった。