素敵小説

□赤裸々プラトニック
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「坂田、それ、旨いか?」
目の前で、ありえない程可愛らしく飾られた、パフェを長いスプーンで真剣な顔をして食っている白い男に聞いてみた。
すると警戒したように彼は言う。

「なに?食いたいの、お前…」

「食いたい、お前を」

とか、うっかり言っちまうとこだったじゃないか!!
ばかだな、唇にクリーム付けて凄んだって怖くねぇぞ、むしろ、可愛らしい、
なにお前、なんでそんなに(永遠に続きそうな感嘆の言葉、以下略)

「ばか、そんな甘そうなもん、俺はいらねえ」
「そっか。あ…お前、珈琲だけでいいの?」
「ん?ああ、俺は別に食いたいもんねえし…」
「ふ、ふぅん…」

あ。
顔、赤らめた。
やっぱ、ヘン、だよな、
用事もないのに、街で会ったから(実は偶然なんかじゃない、いつもお前を探している)って、こう毎回、ケーキだの団子だの、甘味を食わせてやる、なんてのは。
いい加減、気付いてるっぽい、よな。



**
今日も、奢ってもらってしまった。
最初は何の気紛れだろう、なんか面倒な事でも持ちかけられるんじゃないか?と疑いながら店についてったんだけど。
こうもしょっちゅうだと、いい加減、感じてしまう。これは単なる好意だ、って。だって、アイツってば、いつも自分は何も食わなくて、オレが食ってるの、見てるだけなんだもん。
それも、なに、あの顔。

色男が優しげに微笑むのを皆さんは見たことがあるだろうか?
女じゃなくたって、
どきん、と心臓が跳ねてしまう、そんな表情でオレのこと、見てんだもの。
くすぐったいんだ
アイツといると。
でも最近はそんな時間が待ち遠しくなっていて、きっと明日もオレ、
アイツにみつけてもらえるように街をふらつくんだと思う。
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