-[Wonder&Shot]-
□第四話 幽霊船、又は奴隷船、あるいは食料運搬船
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大きな窓の向こうは、いつもと変わらない嵐の海だった。
それを、つまらなそうに見つめていたのは、銀の長髪を無造作に流した、男。
「ヴァル」
窓に映る嵐が不自然に見えるほど静かな部屋に、男の呟きが響く。
すると、何一つの音も立てることなく、その場に別の男が出現した。
「そろそろランチの時間だ」
「畏まりました」
それきり、また部屋には静寂が満ちる。
「………」
ふと、遠い海に雷が落ちたような気がした。