-[Wonder&Shot]-
□第二話 海賊船に天使は降りる
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望遠鏡を通して、果てしない水平線の断片を見ながら、男はふぁ……と欠伸をひとつ。
そこは海岸沿いのある村の、高い見張り櫓の上だった。男は、その日の見張り当番である。
眠いなぁ……と、男は望遠鏡を置き、真昼間の青い海を見渡しながら思った。
しかし、転寝しそうなところをはっと思い留まり、また水平線の向こうへと視線を戻す。
こんな風習は、このあたりに古くからある海岸では珍しくない。
昔から、このあたりの海は海賊が多いと有名なのだ。
だが、彼は海賊船の影を水平線の向こう側に垣間見たことはあっても、それが村を襲うところは見たことがなかった。