novel

□アカイイト
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赤い糸なんか暇なヤツの戯言・・・

んなもん信じたって意味ない

たとえそんな糸があったって

すぐに切れて悲しくなる。

人の縁なんてそんなものー・・・

そう思ってた。

「ゼロス、ちょっといいかい?」

嗚呼。愛しい声。

だけど、その声を聞けば聞くほど

切れかけた糸をおもいうかべる・・・。

手を伸ばしたって届かない。

そんな関係。

オレハウラギリモノー・・・

「ちょっとゼロス!!!」
その声に目がさめた。
「なんだハニーか。」

いつものようにふざける。

そんな笑顔もなんて痛々しいツクリモノ。

「ゼロス?」

「ん?どした?」

オカシイナ。いつもなら怒って
『誰がだ!!』
とか
『アホ神子!!』

って言うのにな・・・。

「あんた今日どうかしたのかい?」
え?俺は一瞬時間がとまったような
感覚に襲われた。
どういう意味だよ。
「なんだよしいな〜。俺様ちょー普通だぜ♪」

「そうかい?ならいいんだけどさ・・・」

嗚呼もう・・・。そんな顔するなよ。
少し困ったような彼女の表情に、
たまらなく締め付けられる心・・・。

そう。それは衝動。

俺は目の前の彼女を強く引き寄せた。

そして強く抱く。

「ちょっ・・・!ゼロスっ///」

もうどうなったってよかった。

嫌われたって、どうせコレが最後だ。

俺はもうすぐお前らにやられて死ぬんだよ。

あれ。やっぱりおかしいな・・・。

拒めよ。怒れよ。

いつもと違う表情。

ナイテル。

俺は彼女から離れた

まるで必死で紡いだ糸を

切り離すかのように。

「そうだよな〜♪俺様にこんなことされても

嫌だよなっ わりいわりい」

ほらな、やっぱり俺は...

取り繕われた関係なんて...

その時だった、うつむいていた俺を

暖かい何かが包み込んだ。

「っ!?」

まぎれもなく彼女だった...

「どうしちまったんだい...あんた...」

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