捧げもの!

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答えの出ない答え

※拍手の続きになってしまいました…


『もうひとつの答えは出たか?』

あたしは何も言わず逃げてしまった。
扉を開けた時、久遠と目があった。
監督に用があったのか、扉の前にいた。
あたしは何も言わず、その場を去った。

「……なんだって言うんだよ…」

少し前に、監督にイナズマジャパンに入れと言われ
その後少しして好きだと言われた。
いろいろ問題あるんじゃねーか?と言ったが、監督は表情変えずに構わないといった。

「問題ありまくりじゃねーか」

奥さんはどうなんだよ
てか、娘と同じ年の女に告白すんな
いやそもそも、監督がチームのマネージャーに手を出すな
しまいには選手にしようとするし…
あたしは寝返りをうった。
試合に出たい、あいつらと同じフィールドに立ちたい。
あたしは…そう思っている。
それは認める。
だが、少し怖いのだ。
女なのに世界に立っている。あの告白もあるし贔屓じゃないのか…

「……ばかばかしい…」

あたしは、ベットから降りた。
これからマネージャーの仕事が待っている。
今日は食事当番だ。
髪を結び、食堂へ向かった。
食堂に向かう時、鬼道にあって何か言われた気がしたが、頭に入っていなかった。
鬼道を無視して、あたしは食堂についた。
掛けていたエプロンをつけ、台所に入った。
そこにはもう音無がエプロンをつけて野菜を切っていた。
あたしを見ると、遅いですよーと言った。
あたしはわりぃと言って包丁を持って残りの野菜を切り始めた。
音無の視線を感じたが、無視をした。

「不動さん…どうかしたんですか?なんかいつもの不動さんらしくないです」

恐る恐ると言った感じだ。
あたしは返事をせず、ただ野菜を切っていた。
頭の中はぐるぐると監督の言葉が巡っていた。

「いたっ」

「大丈夫ですか!?」

「うるせーな…騒ぐもんじゃねーよ」

「血が出ているじゃないですか!今、救急箱取りに行ってきますから!」

「あっ!待てよ!!」

音無はあたしの止めの言葉を聞かずに出ていきやがった。
あたしは切った指を口に含んだ。
血の味が口に広がっていく…
結構深く切ったようだ。
不思議と痛みは感じなかった。
考え事していたからこんな醜態をさらしてしまった。
髪ゴムを切った指につけた。
ぐるぐる巻ききつく締めた。
これで少しは血が止まるだろう。

「…何悩んでんだか…」

普通に断ればいい話なのだが…
自分の心は揺れたままだ。
そんな状態で断ってもあの監督のことだ、認めてくれない。

「あたしは…どうしたいんだろ…」

「どうしたんだ?」

「鬼道…何しに来たんだ…」

台所に入ってきた鬼道を睨む。
鬼道は、はぁと溜め息をついた。
腕を組んだままであたしを見た。

「春奈が不動さんが指切った!と騒いでいるから見に来たんだ」

「あいつ…」

私は心の中で舌打ちをした。
鬼道はあたしの表情でわかったのか眉を歪めた。

「めずらしいな…お前が指を切るとは…」

「うるせーな…」

「見せてみろ」

「ちょっ…!」

鬼道があたしの腕を掴んだ。
鬼道は切った指を見て、結構深いな…と言った後、なんとあたしの指を口に含みやがった。
あたしは恥ずかしくて顔が熱くなった。
鬼道は何とも思っていないような顔しやがって…
数分の出来事なのにあたしには何時間の感覚だ。
外がなんだか騒がしい。
食堂のほうを見ると、いつの間にいたのかジャパンのメンバーがいた。

「きっ…鬼道…」

佐久間がぶるぶると震えている。
隣にいる風丸なんてすごい顔をしてこっちを見ている。
せっかくの綺麗な顔が台無しだ。

「うらやましい!!」

あたしは目が点になった。
何言ってんだ?
ぽつんとあたしを置いてけぼりにして、やつらはテンションがヒートアップしている。

「鬼道!抜け駆けはいけないぞ!!」

「ああ…まったくだ!」

「俺だって不動さんの指をなめたい!!」

大きな声でキモイことを言っているのはヒロトだ。
あたしは鬼道達から離れた。
気持ちわりぃ…
てか、なんか怖い
指を水で洗い、タオルで手を吹いている間もあいつらは何か言いあっていた。

「不動さん!救急箱持ってきました!」

「…さんきゅ」

「消毒しますね!」

音無は手際よくガーゼに消毒液を吹き付けゆっくりと傷口に当てた。
少し沁みたが、あたしは絆創膏を貼った。

「ほらほら!お兄ちゃん達、さっさと出ていく!不動さん困っているじゃない!」

ぐいぐいの鬼道の背中を押す音無
やつらはしぶしぶといった感じに出ていった。

「さぁ!遅れた分を取り戻しましょう!」

「そうだな…」

「不動!!大丈夫か!!」

作業を再開しようとしたが、また邪魔が入ってしまった。
監督はすごくあわてて来たようで、息が上がっている。
台所に入って来て、あたしの手を掴んだ。
絆創膏が貼ってある指を見て、眉を歪めたが、安心したのか安堵の溜息を吐いていた。

「離してくれませんか?監督、まだ調理が終わってないんで」

「不動、後は私がやるからもう休め」

「はぁ?」

監督が真剣な顔で言う。
あたしはふざけるなと言った顔をした。
監督は目をそらさずにこう言った。

「……あのことは忘れてくれても構わない…あのことでお前が苦しむことを考慮していなかった…すまない」

あたしは、いま監督が何言ったのかわからなかった。

忘れてくれても構わない?

意味がわからない

あのこと全部なしにするつもりなのか…

あたしのこと好きって言ったの…なしにするのか?

別に私は監督と付き合いたいわけじゃない。

だが、何だこの胸の中渦巻いた感じは…

これ以上ここにはいたくなくて、あたしは監督の言うとおり、自分の部屋に戻った。
戻ってもこの気持ち悪い感情は残ったままだ。
あたしはやつあたりにまくらを投げた。
すっきりはしなかった…




おわり



―――――
美琴様!リクエストありがとうございます!
拍手文誉めてくださりありがとうございます!!!
なんだか、拍手文の続きになってしまい申すわけありません……
少しでも、良かったと思える作品になっていたらいいなぁ…と思っています(自分に自信がなさ過ぎてごめんなさい…)

リクエストありがとうございました!^^
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