ライフル

□ライフル 02
2ページ/3ページ


コンクリの地面に着地して、目先で溢れているガラクタたちにぐるりと視線を送る。何も感じない。
もうここに核はないようだ。
ほっとして、しかしまだ気配がある。

「だれ」


問題は後ろにいる人間。学生服をきた、青年。確かにこいつが核をみつけた。なぜ。どうして。
──でもまさか。

「…葵さんの代わりに上から送られてきたのか?」

だったのなら納得がいく、同業者なら見つけられるだろうし、中に侵入も可能だろう。
しかし、最初のあの行動は?
同業者の力を図ろうとして演技をしたのか。フェイク、なのか?


「応えは、」


近づくとやはり顔が青ざめていっている。

──違う。こいつはただの人間だ。なのに、


「……あ、あの今のは」


──何かが違う。
今まで見てきたのと、何か違う。

「……おもちゃ箱」


「ぇ…?」


「おもちゃ箱から飛び出した悪い子だよ、」

やっと絞りだしたため、ボリュームは小さい。が、近距離。異空間故に余計な音は一切存在していない。聞こえただろう。


「…悪い夢だ、忘れた方がいい」

何も見なかったことにしろ、暗にそう込めてなげやりに言う。背を向けて、まるでただすれ違っただけのように、しれっとしてその場を立ち去る。早足。そして屋根から屋根へ飛び回る。


もう、二度と逢うことはないだろう。




次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ