ライフル
□ライフル 02
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コンクリの地面に着地して、目先で溢れているガラクタたちにぐるりと視線を送る。何も感じない。
もうここに核はないようだ。
ほっとして、しかしまだ気配がある。
「だれ」
問題は後ろにいる人間。学生服をきた、青年。確かにこいつが核をみつけた。なぜ。どうして。
──でもまさか。
「…葵さんの代わりに上から送られてきたのか?」
だったのなら納得がいく、同業者なら見つけられるだろうし、中に侵入も可能だろう。
しかし、最初のあの行動は?
同業者の力を図ろうとして演技をしたのか。フェイク、なのか?
「応えは、」
近づくとやはり顔が青ざめていっている。
──違う。こいつはただの人間だ。なのに、
「……あ、あの今のは」
──何かが違う。
今まで見てきたのと、何か違う。
「……おもちゃ箱」
「ぇ…?」
「おもちゃ箱から飛び出した悪い子だよ、」
やっと絞りだしたため、ボリュームは小さい。が、近距離。異空間故に余計な音は一切存在していない。聞こえただろう。
「…悪い夢だ、忘れた方がいい」
何も見なかったことにしろ、暗にそう込めてなげやりに言う。背を向けて、まるでただすれ違っただけのように、しれっとしてその場を立ち去る。早足。そして屋根から屋根へ飛び回る。
もう、二度と逢うことはないだろう。
*