ライフル

□ライフル 01
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人とズレを感じ始めたのは中学生になって、深い付き合いなやつができたころか。
ゲーセン行ったり、ちょっとした悪ふざけをしたり、流行の音楽を聞いたりマンガよんだり。好きな女子について語ったり、少しエロい話をしたり。健全な男、オレはオレをそう思っていた。
しかし違っていた。
──何か、足りない。
オレは他よりズレていて、ブレていて、何処か違う場所にいる。
そんなことを心の隅で、誰にも気付かれないまま思い続けている。
それが何なのかわからなかったが、決定的にわかった出来事があった。
いつしか、彼女ができて、手を繋いだ。そして、流れでキスしようとした。その時、だ。
赤らむ彼女の顔、少し震えている手。そんなことを感じてわかった。

──オレ、全然ドキドキしてねぇ。

結局、そいつには悪いことしたなあ、と思いながらもキッパリと別れを言い、一方的に突き返した。キスは勿論、していない。

その後よくよく考えて、ゲーセン行こうが、悪ふざけしようが、友達と絡んでいても、ドキドキもワクワクもない。要に、楽しくないってことだろうか。

───それはまだ、高校2年生になった今も続いている。



「っでさー!」

5、6人でつるんで適当に店回って、食べたり飲んだり、歌ったり。帰り道もほぼ一緒。
──楽しくない。
でも、あわせて、笑ったり楽しんだフリをする。

「アキラ、お前もこっちだよな!」

言われてハッとすると、友人らが指さす。大方、この盛り上がりのまま一緒に喋りながら帰ろう、というとこか。


「わりぃ、今日よるとこあんだよ」

みんなとは逆方向を指差す。

「わかった」

誰も不審に思わず、分岐点を過ぎてオレとオレ以外はわかれた。

「じゃーな!」

と嘘をついて。






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