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□オレたちは誰よりも体温を知っている
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二年次になって、本格的にパスカル科としての授業が始まった。

基本的には一年次の延長から入って、それでも専門分野へはつっこんでいる。


「よくできていますね」

「――え、はい。ありがとうございます」

「このまま、日本の発展のために頑張ってくださいね」


するりと講師が横を通り過ぎる。

――日本のために、ね。

馬鹿馬鹿し。


と言うのは、非国民だろうか。
でも正直、身近に感じられない。日本に貢献。
――そんなために来たわけじゃねーし。


「かっなめー!」

「早っ!プロログとかなり距離あるだろ!」

「おれ、俊足だし?」

「失せてろ」

「要ー!腹減った」

「――――どこ?」

「今日はあそこ!先週できたやつ!カフェ!」

「ちょいまってて」

「ウィーす」

なんだかんだ、コイツと一緒にいるためだ。ここにいるのは。








「はぁぁあ?」

「――いやだからさぁ」

「もういい、三回も聞かなくてもわかる!」

「――頼むよ!」

「でもなんで!」

――どうして、犯罪行為なんか。しかも。


「……なんで国家機密なんか…」
「……要、ほんとお願い」



国家機密の、政府の保持する情報をハッキング。

それが非日常、そして悲劇の幕開けだった。



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