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□オレたちは誰よりも体温を知っている
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見ていた世界が、真っ暗闇になった瞬間は既に、2年も前のことだった。



理由はなんとなく。といいつつ流行に乗るために、そして理由の80%くらいはアイツと張り合うため。興味がないわけではなかったが、それが決定的なものとなり、国が最近になって新しく設立した大学を志望校にして、見事。――――合格した。


通称プロログと呼ばれるPrograming in Logicというパソコン用語からとられた名のとられた、大学。理系の城とも呼ばれるような、外観は、とりあえずどでかく綺麗。西洋風だがどこか近未来的。そして構造は利便性、効率性を図っていて、いかにも頭使いましたっていう雰囲気。
学部はたくさんある。
理学部、工学部、医学部、保健学部、水産学部、農学部、海洋学部、薬学部。
そして、ここ特有で、オレが入った情報学部。
定員は40人程度で、その中でも様々な分野にわかれている。



「おーい、なにすんだ?アレ」

「アレ?」

「そー、アレ?」

「意味伝わんねーて」

「学科」

「……パスカル」

「まじ!?」

「なんだよ――」

「オレ、プロログにしちゃた」

「……しちゃたって、何も不味いことないだろう」

「一緒がよかった〜」

「キモっ、大学に入ってまで連れションとかやめろよな」

「えー?かなめぇー付き合ってよー」

「くんな、来んな!」

しっしと追い払うが、犬ようについてくる。

――そうか、学科違うんだ。

情報学部内は40人程度ずつのくせに学科は7つ。4〜7人の構成になる。一年次の成績で変わるだろうが、みんなどっこいだし、希望もばらついていると小耳に挟んだ。きっと、第一希望で通るだろう。


「要!」

「あ?」

「ずっと一緒だぞ!」

「わーったて」


思えば小学生の頃からの長い付き合い。友人として、知り合って10年を越えた。
腐れ縁、でもあるが。

――お互い、必要なんだもんな。

一緒にいる約束は絶やしたことがない。


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