ＴxＴ
□ジョーカー・ゲーム
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ばらまいて。散って。消えて。隠れて。集まって。広げて。離れて。遠くなって。
ブレて、揺れて、ズレる。
それは、ひとつの切り札。
最後まで生き残り、時に最強となる。誰かの代わりにもなれる。
君が大切ななにかを失ったとき、僕はその代わりとなれ、
君が泣いているときは、
盾になって守り切る。
例えば、そんな感じ。
そういう風に僕はいつでも君の傍にいて、君を大事にしてきた。
君のために背負った傷は少なくはない。君を思ってきた時間は長く、それとともに君を守る努力だってした。たった１人きりの君の、たった１人の騎士。君のためならなんでもしよう、そう決めて。そう、思って。
僕は騎士。
君の傍で、君を守る。
それが僕なのに。
──どうしてかな？
君はそんなに僕から離れていくんだろう、距離をとろうとするんだろう。
これで、何回目？
もう数えきれないくらい傷ついたよ。
僕はこんなに君を思って、想って、いつでも君のためにって、費やしているのにね。
君はいつもわかってないよ、
僕のこと。
ねぇ、なんで僕の名前を呼ばないの？
おかしいよ、目の前にいるのは僕だよ？僕に助けを求めればいいのに。…なに？息が切れ切れで何言っているのかわからないよ。あぁ……だって僕が君を絞めているから？そうだったね。だってそれだって君が悪いじゃないか。僕から離れて、違う男のところに。
君が何回言ってもわかってないからだよ、ほうら。
だから、そうなるんだ。
苦しい？
僕も苦しいよ、苦しかったよ。だっていつも君だけを想っているのに、君はちっとも僕を見てくれない。あげく、君は変な代名詞で僕を呼んでさ、どうしてか敵を味方にして、僕の手間をとらせて。
最初は、力量を測っているのかと思ったよ。
そう思っているうちが、幸せだった。
ごめん、ごめん。
そんなこと話してる場合じゃないか。…ん？許して？
今更なにを。
大丈夫、このあと君を追ってそっちにいくから。
…恐がらなくて、いいんだよ。
今度こそ、君の隣にいるからね？
ジョーカー・ゲーム
(君は当たりくじをひいたね)
(ナイトになりきれない、)
(無念で、独りぼっちの切り札)
「君は、なんの切り札だったのかな」
呟いても、君はもう、答えられない。
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