TxT

□俺様的思考能力
1ページ/1ページ



なんだかんだで尊敬してます。
成績のことは と も か く、部長を努めていて、かなり能力がある。
部員を統率して、いつも先頭をきっていく。
──コイツ、強ぇ。
そんなオーラ。
顔は悪くない。身長はそこそこある、スポーツに関しては殆ど万能。よく逆立ちして歩き回ってる、そんくらい筋肉もあって、筋肉トレーニングだって毎日欠かしていないんだろう。努力家。でも嫌味のない努力家。友人関係だって悪くない。こんな完璧なやつ、男の理想。女にとったって彼氏にするには最高の人間だと思う。
そうさ、

「集合!」

「はいッ!」

「今日の練習はおわり。キツいメニューだったがが、ちゃんと皆ついてきてて、確実に各々の能力は上がってきていると思う。夏が楽しみだ。冬は寒いから、うっかり風邪をひかないように。それと、
トイレいくにしろ、途中で集団を離れてどこかへ行く時は 俺 に 言 え 。」

───普通ならば。


「光、最後のオレ?」

「……気付いたならよろしい」

ダウンのジョグのときに、トイレに行った。それが癪に障るらしい。

「当麻、鏡」

「……はいはい」

スポーツバックをあさって、なかから手鏡を出す。4月からコイツと近い友達になってからというものの、この動作は日課となった。手渡すと、「っス」と言って髪をいじりだす。そして最後に「オレ様、格好いい?」と聞いてくる。呆れたもんだ、お前はどう見たって男の理想だよ、と声をかけると満足そうに鏡を返してくる。

─そう。コイツは極度の俺様。
ナルシスト。俗のナルシー。
コイツにとって自分というのは様様で、オレは下っぱ。下僕。召使。でも友人。

女王様とか女の召使ならまだなんだか楽しみがありそうなものの……いや、決してやりたいわけではなく。強いて言えば、やらなければどちらか、という話だが。

友人兼お付き添い、いわゆる召使という下っぱ。

なんだか複雑である。
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ