泣いてもいいよ、
□Step.01 Daily Life
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「美央おはよーう!」
「っちゃーちゃん!おはっ」
いつも通りに駆けていくと、ちゃーちゃんと私の家からだいたい等間隔にある待ち合わせ場所の公園でちゃーちゃんはブランコに揺られていた。
「まったー、美央ねぐせ!」
「ふぇ!うそ!」
「ほんとほんと」
カバンからコンパクトミラーを出して確認すると、確かに目立つ寝癖。これなら、2人ともわかってただろうに……2人は敢えて言わなかったのだろう、と予想がつく。
「…酷い、言ってくれたらいいのにー」
「…え?だから言ったじゃん?」
「あ、そうだね!」
思わず零れた言葉を掬われた。
杠さんと、天春さん、に向けていったものだったけど、ちゃーちゃんは勘違いしたみたいだった。
――わたし、一人暮らし設定だもんね。
あれからのことは、誰にも――正確にはお隣さん以外―には言っていない。ちゃーちゃんにも、クラスメイトにも、先生にも。誰も私がいま、4人で暮らしてることはしらない。
だって、言ったら。
言ったら何をいわれるのかわかってるもん。
「美央!あと10分!」
「えー!は、走る!?」
「走るしかないっ!」
だから私は一人暮らし設定で、いまは学校に通ってる。
不思議なことに、誰もそれを信じて疑わないし、誰にも気付かれてない、きっと。
――でも、みんなのその気遣いや態度で私は私を保ってた。