CherisH!


□始まりの朝に
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 薄桃色の小さな花をたくさんつけて、
 太陽のもとにしっかりと立っている。
 大きな桜の木はまるで
 光に包まれているようで、
 窓枠に切り取られたその景色を見て、
 少年は思った。

 ただ純粋に、美しいと。

 窓枠に施された華美な装飾も、
 気にならない程に。


 「‥‥はぁ」


 ──ため息をついていても、
 どうしようもない事は解っている。

 目の前に続く廊下をぼんやりと見る。
 割り切れない気持ちも、
 ぼやけて見えなくなればいいと思った。
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