グレーテルの足跡
□メリークリスマス
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「って、逆に一哉は何してるん?こんな雪の中。」
「え……いや、雪が積もってたからちょっと外に出たくなって。」
ただそれだけですよ。と言いながら白い息をはいている一哉に俺は自然と両方の口端が上がる。
「ほな、こっちきーや。今、雪だるま作ってん。」
ちょいちょいと、右手で手招きしながら、左手にのっている雪の塊を見せる。
「雪だるまって……小さいの作ってるんですか?」
「あほ!!見てわからんかい!!最初や最初、今から大きくするんや。」
「大きく……ですか。寒いですし適当にそれらしいのが出来たら部屋に入りましょう?」
「何言うてんねん!!大きく言うたら大きくやろ!!夢は大きく持たな男やないで一哉!!」
なーんて、本当は一哉と一緒にいる機会を逃したくなかったからなんて言えへん。
一哉は風紀委員やし、中々会えん。生徒会室に来ても会長と和樹がべったりひっついて一哉とゆっくり話もできひん。
せっかく一哉と奇跡的にも二人っきりというシチュエーション……逃すわけないやろ!!!!
俺がメラメラ燃えている横で、そういうもんですか?っと一哉は渋々雪を転がしていく。
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