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もう町屋先輩の研究室が見えだした時、さっきまでのことが頭をよぎり、足の運びが少し遅くなった。
そんな俺を見た恭平先輩が、ガシガシっと少し乱暴に俺の頭を撫でる。
「わっ!!」
それに驚いた俺はなんとも間抜けな声が出た。
「だから心配すんなって言ってんだろ。」
横を見上げると恭平先輩が呆れたような顔をしていた。
「あいつには俺が得策なんだよ。」
「……風間先輩たちもそう言ってましたけど、それってどういうことなんですか?」
「……………行けば分かる。」
間を空けながら険しい顔でそう言う恭平先輩に「?」になりながら、少し不安な気持ちで町屋先輩の研究室の扉を開けた。
ガラッ、と音を立てて扉を開けると、町屋先輩が背中をこちらに向けて何か作業をしていた。
「誰だ〜、勝手に人の研究室に入ってくる奴は…………」
そう言いながらゆっくりこちらを振り返った町屋先輩は目を見開いて固まった。
俺は町屋先輩と恭平先輩の反応を不安になりながらソワソワした気持ちで二人を交互に見る。
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