グレーテルの足跡
□メリークリスマス
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〜佐上康彦編〜
「一哉〜な〜、まだ〜?」
「あとちょっと……もうちょっと待っててください……って!!佐上先輩も、もうちょっと大きいの作って下さいよ!!」
「えー、もう充分大きいんとちゃう?」
「まだまだですよ!!もうちょっと頑張りましょうよ!!」
そう言う一哉に佐上はハァ〜っとため息をつきながら、丸い雪の塊をまた転がしだす。
こんなはずやなかったのに……
そう、今日は雪がすごく積もっとったから気分とほんの少しの少年心で外に出たんや。
「おー、積もっとるやん!!こげ積もる思わんかったわ……にしても寒!!!」
久々積もった雪に興奮し、何も考えず手のひらで雪をこねてたらいきなり後ろから声をかけられた。
「佐上先輩、何してるんですか?」
落ち着いた声。
俺はこの声が少しお気に入りだったりする。
「ん?何してると思う?」
振り返るといつもの無表情でこっちを見ている一哉がいた。
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