臨也夢/drrr





何でだろう
今日は特になんにもないはずなのに

「ねぇ、何でそんなに機嫌が良いの?」

「そう見えるかい?」

「そうね、気持ち悪いわ」

「ははっ、気持ち悪いは心外だなぁ!」

そうやって嫌味な笑みを浮かべるところはいつもとなんら変わりないのだけど
一つ一つの動作がなんだかこう、おんぷマークが出てるというか
静雄と会ってからかった後でもこんなに上機嫌にはなってない
なんなの、気持ち悪い

何が気に入らないって、あたしの知らない理由で上機嫌なこと
知ってるでしょ、あんたはあたしのもんなの
人間観察が趣味とか人間を愛してるとかなんとか言ってるけど
あたしだって人間観察は趣味だし、あんただって人間なのよ
ずっとずっとあんたを見てきたのになんであたしのわからないことで楽しそうにしてるの

ああ、腹が立つ
刺してしまいたい


「君は逆に機嫌が悪そうだね」
「…」
「俺が上機嫌なのがそんなに気に食わない?」
「別に…」
「理由を教えてあげようか、あぁもちろん情報料は貰うよ」
「なにそれ、別に聞きたくなんか」
「今日はね、君が俺の所有物になって丁度1年になる日なんだ」
「は?」
「世間的にいうと、付き合って1年ってことだね」
「…そうだったっけ?」

いつものいやしい笑みを浮かべてこっちを見ている人間の成り損ない
確かに付き合ってはいるけど、あたしがいつからあんたの所有物になったわけ?

「…あんたがアタシの所有物になった、の間違いじゃないの?」

一瞬きょとんと間抜けな顔になった、それから少し考えるような素振り
意外と可愛い顔するじゃないの

「…ははっ、君は強情だねぇ、この俺を所有しようだなんて」
「何か問題でもあるかしら?」
「ま、そういうところも気に入ってるけどね」
「そりゃどうも」

あんたの所有物は"全ての人間"でしょ
あたしはそんなあんたを所有するの
あんたなんか所有物でいいのよ、誰にも渡さないわ
あぁ、素敵すぎて反吐が出る


「これからもよろしく頼むよ、"俺の所有者"さん」
「こちらこそ、"所有物"の臨也さん」



















「ところで情報料のことなんだけど」
「…あんたに払う金はないわ」
「金なんか興味ないよ」

ちゅ

「…君にしか払えない情報料」
「…ふん」

「ふふ、顔が赤いよ?」
「気のせいなんじゃない、きっとあんたの目がおかしいのよ」
「そういうの、嫌いじゃないよ」










[TOPへ]
[カスタマイズ]




©フォレストページ