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□隠しきれなかった気持ち
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「あっ…あのっ」
今まで感じた事のない恥ずかしさ、顔に熱がどんどん集まるのがわかる。
こんな形で、気持ちを知られるなんて…運が悪すぎるとしか言いようがない。
ハーマイオニーと一緒に作ったチョコレート。
それを、ギュウっと胸に抱えて大きく息を吸い込んだ。
「ド…ドラコ君!あのっ…私っっ、ずっと前から好きでしたっ」
胸に抱えていたチョコレートの箱をドラコに差し出す。
これが私の精一杯で、周りの事なんて考えられなかった。
廊下には、沢山の生徒が居て私の様子を驚きながらもじっと見ている。
ドラコに差し出した私の両手は、緊張のあまり小さく震えていた。
重さがあまりないはずのチョコレート。
1秒2秒と時を刻む毎に、どんどん重くなっていくような感覚に息も詰まる。
”受け取って貰えない”
頭の中に過ぎった一言。
諦めて、すっと手を引こうとしたその時、両手が宙を仰いだ。
「…え?…ドラコ君…」
受け取られたチョコレートはしっかり、ドラコの手の中に。
「もう、いいかしら?ハッフルパフのコラム・サラシナさん。」
ドラコの背後から現れたのは、スリザリンのパンジー・パーキンソン。腕を組んで威嚇する様は正に女王様。
「ってゆーか、図々しいにも程があるんじゃない?ハッフルパフの分際でスリザリンの私達に声をかけるなんて…まさか、ドラコが貴女の気持ちを受けとめるとでも思ってるんじゃないでしょうね?」
「私は…」
パンジーの言葉に戸惑っていると、ドラコがパンジーの後からコラムの台詞を遮って話し出す。
「当たり前だパンジー。ハッフルパフの奴等なんかと一緒に居るだけで具合が悪くなる。いっその事、この世から消えて貰いたいね。」
「フフフ。…ほんとね!」
「マルフォイ!貴方、何様のつもり!?」
ハーマイオニーが私の側で、私の為に怒ってくれている……
「黙りなさいっ!貴女みたいな血筋の者が私達に意見するなんて」
あぁ…涙が溢れてくる
こうなるって解ってたけど
あまりに、現実が痛くて
息が出来なくなりそうだ…
ハーマイオニーは優しく私にハンカチを差し出してくれた。
それは、甘く香るチョコレートの臭い…
「……その汚い手をどけろ……」
甘いチョコレートの臭いと、低く呟かれた言葉。二つを同時に感じた時、体が大きく揺れた。