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バレンタインはサバイバル
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グリフィンドールの談話室。



テーブルの上には山積みになった料理本。『本命チョコならこれで決まり!』『女の子の手作りチョコレート』眺めているだけで甘い香りが漂ってきそう
な表紙がずらりとならんでいる。


キューリーはパラパラとページを捲って「はぁ」と溜め息を吐いた。その溜め息が聞こえたのか山積みになった本の横からうさぎがひょっこり顔を覗かせた。



本を挟んで向かい側に座るウサギも料理本を開きながら「キューリーちゃんどう?」と様子を伺う。キューリーはまたひとつ溜め息を吐いて

「ダメです。全然決まりません…」



試験勉強が全く捗らない学生のようにしかめっ面をしているキューリー。

そんなキューリーを励ますようにウサギが声をかける。



「これだけ本があるんだから何か必ず見つかるよ!ねっ、頑張ろう!」

キューリーは苦しそうに「うっ…うぅ…」と唸り開いた本に突っ伏した。


キューリーは力なくフラフラと立ち上がり、広げられた本の中にまだ読んでいないものはないかと探し始めた。


がさごそと本を探していると「バレンタイン☆手作りチョコレート」と題された分厚い本の下からイチゴミルクのような可愛らしい本が僅かに覗いている。




「この本はまだ読んでいないはず」



キューリーは本の端を掴みまだ見ぬ本を持ち上げた。

「はぁ!!!!」

それはまるでキューリーのために用意された本のようだった。




『ぶきっちょさんにも出来る簡単手作りチョコレート」



本を持つ手が震えている。ようやく出会えたのだ。



「やっと、やっと見つけた!!」




キューリーは席に戻りパラパラとページを捲る。写真付きで手順が細かく書いている上、オールカラー。


「これならいける!」


キューリーの顔がぱあっと輝き始めた。




「ウサギさん!ウサギさんっ!!」



大慌てで自分の名前を呼ぶキューリーに驚き、ウサギは危うく読んでいる本を落とすところだった。


「キューリーちゃん、どうしたの?」


キューリーは机に両手を突き、身を乗り出して話を続ける。


「ついに見つけたんですよっ!わたし用のお菓子作りの本を!!」


キューリーは今しがた見つけてきたばかりの本の表紙をウサギに向けた。

「ぶ き っ ち ょ さ ん の・・・」

「あははは」

ウサギが笑い出した。

「キューリーちゃんいいの見つけたねー。これであの人にチョコ渡せるね!」

「はい♪」

キューリーは満面の笑顔で本を大事そうに抱えた。
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