キズナSS

□『15th』
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『15th』(長編第14話時、万里目線のお話)




―――思えばこの15年(正確に言えば生まれてから14年と数ヶ月)で、オレはすっかりオトナになった。

8月にいち早く15歳になった平よりも、今日誕生日を迎えて15歳になった結よりも。

少なくともこの3人の中では精神年齢は一番高いと思う。


そしてオトナになると今まで気付かなかったことに気付いたりする。



―――さっき届いた優さんからの結への誕生日プレゼントを見ても、特別驚きもなく、むしろ結以上に嬉しそうな笑顔を見せたマイさん。


そんなマイさんを見て、"夫婦"ってのにはいろんな形があるんだなとなんとなく察してみたり。



オトナになるといろんな事情が理解できるようになる。


でも理解できる事が増えて行く分、曖昧な記憶も多くなってきた。


だから今もふと、オレはひとつの記憶を辿ろうとしていた。



―――オレが結を想うようになったのはいつからだっけ?




*****

昭「そんなこともあったわね〜懐かしいわぁ」

マイ「ロスに引っ越した頃だから…5年前ね」



後ろを振り返ると久し振りに三人揃って思い出話が弾む母親たちがいる。



―――そうだ、"あの日"だ。

結がロスに引っ越すと知った5年前のあの日。


ショックだった――いつも一緒にいるのが当たり前だったから。

結と会えなくなるなんてそれまで思いもしなかった。


行くなよって言いたかった、でも言えなかった。


あの頃のオレの頭の中はもう既に"オトナ"に近づいていた。



―――でもあの日からなのは確かかな。結を意識し始めたのは。





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