キズナ
□第4話『love x game』
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「うーん恐れていたことが起きちゃったねえ」
平「万里の事件のせいで時間がなかったんだ!不可抗力だ!」
万「オレのせいにすンなよ。日頃の努力の結果が出るものなんだぜ?中間テストってやつはさ」
―――1週間前に行われた中間テスト。
平ちゃんは見事3教科で赤点という快挙を成し遂げてしまったのだーーー。
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<職員室>
二下「天野、おまえという奴は…。わかってるだろうが、3教科以上の赤点の者は10日間の補習を放課後に受けてもらうぞ!」
平「えー!?もうすぐ球技大会なのに毎日補習なんか受けてたら練習する時間がなくなっちゃうよ!」
桜井「そうです先生!天野くんは2競技にエントリーしてるんです!なのに練習不足なんかじゃ困るんです!」
佐々木「運動だけが取り柄の平の活躍の場を取り上げるなんてかわいそすぎやしませんか、先生!」
平「おい、誰が運動バカだ!」
木村「とにかく先生、3Dが優勝するためにも頼むよ!平の補習を免除してやってください!」
二下「どっから湧いてきたおまえ達!…行事に真面目に取り組むのは大変結構! だからといって補習免除はダメだ!他の生徒に示しがつかんだろ!」
平「そんなあ!」
二下「ただし選択肢を1つ加えてやろう。週明けの月曜に追試を受けて平均点をクリアできればよしとする!さぁどうだ!」
平「追試!?月曜ってしあさってじゃん!」
万「10日間の犠牲と週末2日間の犠牲じゃ断然後者だな。先生、追試でお願いします♪」
平「万里!…ヒトゴトだと思って!」
万「そうと決まったら今晩から3日間寝かせないよ、平ちゃん?」
*****
万「…てなわけで結もこの週末協力頼むよ」
「それは構わないけど…3Dはみんな球技大会燃えてるねー」
万「あれ、結知らないのか?祥子ちゃんにでも聞いてみな、3Cもそんな悠長なこと言ってらんないと思うよ?」
「…?」
*****
<カフェ店内>
翌日土曜の午後、買い物に出た先で立ち寄ったカフェであたしは祥子から事情を聞かされた。
「…なるほどね、そーいう事だったんだ」
―――東一中では創立以来、3年生の1学期の期末テスト直後に「遠足」の行事がある。
毎年遠足の行き先は、各クラスごとの意見をクラス委員達が持ち寄って会議で最終決定される。
だが歴代の3年生達はこの最終決定の段階で毎年必ず揉めてきたらしい。
祥子「文化祭はもう受験勉強で忙しい時期だし、うちの学校じゃ遠足が3年生にとって一番のイベントなんだよね。だからどのクラスも自分たちの意見はなかなか譲らないんだって」
「それで今年は球技大会の成績が良いクラスが遠足の行き先を決められるって事になったのか。平ちゃん達が張り切るワケだ」
祥子「本命は3Cか3Dかって噂だしね。日下くん達にはあんまり頑張ってもらっちゃ困るんだけどなぁ」
「…でも理由はなんにせよやるからには負けらんないね!あたし達も優勝目指して頑張ろー!」
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