蒼色デイズ
□#6.カワイイの境界線
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「平の彼女ってさ、デートの時どんなカッコしてくんの?」
―――飲んでいたコーヒー牛乳にむせて咳き込む平にはお構いなしに続け様に質問をぶつけていく。
「やっぱりカワイイ系の服の方がテンション上がる?」
「ゲホゲホゲホッ…なッ、何いきなりッ…!」
「あ、でもデートに行く場所にもよるか。平って彼女とどんなとこ遊びに行くの?」
「な、なんでそんなコトッ…!?」
「なになに、何の話?」
「天野くんの彼女バナシ?あたしも聞きたーい!」
「え、おまえ彼女いたの!?マジで?ウチの学校のコ?他校?」
近くにいた弥生や他の女子、さらには男子達も興味深々な風にあたし達の席の周りに集まってきた。
後ろの席の平は真っ赤な顔をしてこちらを恨めしそうに睨んできたものの、あたしはそれに気付かないフリをした。
だって本当に知りたいんだもの。
どんな女の子をカワイイと思うのか。
15歳男子高校生の生の声を聞きたいのだ、あたしは。
「ていうか彼女って体育会系?文化系?どっち?どんなコなの?どーいう所が好きなの?」
「っ…青鷺〜ッ!!」
#6. カワイイの境界線
―――まぁ本当にマジメに知りたかったとはいえ。
平に対して多少意地悪な気持ちがなかった訳ではない。
危うく好きなヒトを平に取られるかもと本気で悩んで落ち込んだあたしからの、身勝手でささやかな復讐。
真っ赤な顔であたふたしていてもやっぱりカワイイ平みたいな顔になれたら一番いいのだけれど、そういう訳にもいかないから。
いっぱいリサーチして、いっぱい準備して。
今のあたしができる、最大限の努力をするしかない。
そんな風に思う自分が、“カワイイ”のかどうかは別として、ちゃんとしっかり“女の子”なんだなぁと自分で自分に少し安心した。
―――いよいよ明日から5月のGW(ゴールデンウイーク)突入。
バスケ観戦まであと4日。
トラの誕生日まであと9日。
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