蒼色デイズ
□#5. I have feelings for “xxx”
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男子高校生が休み時間にする会話なんて、日本全国をリサーチしてもさほど大差ないだろう。
「オレはやっぱ“レイナちゃん”だな!」
「いやいや断然“ゆっきー”だろ!」
アイドルグループの写真集を眺めながら自分の推しメンの魅力を力説し、
「D組の白井ってカワイイよなぁ」
「けど彼氏持ちだってよ。A組の橋口はフリーらしいけど」
「マジ?オレいっちゃおうかな」
可愛いと噂の同級生女子達の情報を交換し合い―――まぁコレと逆パターンの事を女子達もやってるみたいだが(しかももっと露骨に)。
「カワイイといえば3年の露草先輩だろ!さっき見かけたけどやっぱめちゃくちゃ美人だよな〜オレ見惚れちゃったもん」
「いいよなぁバスケ部は…ってさっきからおまえら何してんの?」
「…う〜んやっぱ載ってないよなぁ…日下、見つけたか?」
「いーや。ていうかさぁ…もう別によくね?」
―――何を言う、いいワケあるか。
コッチは気になって気になって、ロクに授業にも集中できないっていう状況だっていうのに。
#5. I have feelings for “xxx”
「授業に集中できないのはいつものコトだろ」
「うっせ!あと数冊だけなんだから協力しろよ」
「…なぁ、おまえらがさっきから見てるソレ、何なの?」
「『月刊バスケットマガジン』過去二年分」
「二年分って…なんで?」
「そんなカワイくねー男ばっか載った雑誌なんか見てないで教えろよ、露草先輩情報」
「知らねーよ、見た目と違って性格はすっげー怖いコトぐらいしか」
視線は手元の雑誌に落としたまま、オレは無愛想に答えた。
呑気で平和な話題に花を咲かせているクラスメイト達がまったくもってうらやましい。
「あ、そうだ。オレ鷹丘に聞きたい事あったんだよな」
「マジで何も知らねーって」
「違うよ、露草先輩じゃなくてさ」
「…は?」
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