蒼色デイズ


□#4.不機嫌な放課後
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高校生活がスタートして一週間が過ぎた。
入学式の日以降、今日までずっと一滴の雨も降らない晴天続き。



「奈津?」



こんな青空の下で、思いっきり土を蹴って走る時ほど気持ちの良い事はない。
気分は自然と上機嫌―――なハズなのに。



「ね、奈津ってば」

「…あ、ゴメン弥生。何?」

「ホラまたココ」

「へ?」

「超シワ寄ってるんですけど」



隣に座った弥生に顔を覗き込まれ、ツン、と眉間を突かれる。



「…そんなに?」

「うん。すっごい怖い顔になってる」



―――こんな青空の下、あたしにそんな顔をさせるのは、間違いなく数日前の放課後の出来事が原因に違いなかった。





#4.不機嫌な放課後





「休憩終わりー!次、50Mダッシュ5本!」



ピーッという笛の音と先輩の声を聞いて、肩にかけていたタオルを弥生に手渡して立ち上がった。
行ってらっしゃい、と笑顔で手を振る弥生に見送られてスタートラインの前に立つと、2年の男子の先輩がちらりとこちらを見た途端、一歩後ずさりした。



「か、顔怖ぇーよ、青鷺」

「ヤル気の表れです、気にしないでください」



気にしないでおこうと、そう何度も考えようともしたけれど―――無理なハナシだよ、やっぱり。
ふたたびピーッと鋭く笛が鳴ったのを聞いて地面を強く蹴った、そして思った。



あたしってば、まだスタートラインに立ってすらなかったんだな、って。




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