頂き物&捧げ物

□雨泣様とのコラボ!
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「はじめまして」

視界に入り込んだのは、黒い人影だった。




「えっと……」

私の目の前にいるのは、黒い男の人。
クセのない黒髪や澄んだ紫色の目、白い肌。
女の人にも見える整った顔立ち。
綺麗な人だなあ、とその人に魅入る。

「あの、幹部のバルトロマージ殿ですよね?」

「え、あ、はい。アルテ・バルトロマージです。初めまして!」

黙り込んだ私を不思議に思ったのだろう。
挨拶をされたのに返さないなんて、なんて失礼なことをしてしまったのだろう。
一気にまくしたてた私を見て、まばたきをするその人。

「数日前にヴァリアーに配属されたライ・アリッサです。
バルトロマージ殿が任務から帰還されたと聞いたので、挨拶にきました。
よろしくお願いします」

ペコリ、と頭を下げられる。
私もあわてて「あ、こちらこそ、お願いします」といいながら頭を下げる。

「あの、私のことはアルテでいいですから。それと、敬語も、いいです」

自分より年上と思われる人に畏まった態度をとられるのは落ち着かない。
いや、他にもそういう人はいるけど、この人だとさらに落ち着かなかった。

「じゃあアルテと呼ばせてもらう。俺のこともライでいい」

ライ、と名前を反芻する。

「あの、失礼な事をきくけど、ライは男の人?」
「いいや、これでも女だ」

平然と、無表情で語るライ。
ああ、本当に失礼なことをきいてしまった。

「あの、ごめんなさい」
「何故謝る?」
「だって嫌でしょう? 間違われるの」

ライは、そんなことか、と呟いた。

「気にしなくていい」

微かにだけど、彼女が微笑んでいる気がした。



 『彼女は微笑う』
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