雑誌

□太陽が眠る月夜に※
2ページ/3ページ


 
.





遠くからぼーっとアマ公を眺めてみる


お天道様の光に照らされて輝く白い毛並みも好きだが、月の光が降り注いで仄かに輝く青白い毛並みというのもまた風流だ


……毎夜この光景を眺めているが、全く飽きないってんだから不思議なもんだな


さて、もうそろそろアイツが来る頃か…





イッシャクが立ち上がり、もう少し離れようとする。

その後ろへ、ふわり、と何かが現れた。


「グッドイブニング、ゴムダマ君」


イッシャクが驚いて振り返ってみれば、そこには至近距離でウシワカが。

イッシャクは顔をしかめた。

ただそれは、会いたくなかったとか、そういうことではなくて…


「んだよ、また来やがったのか、あんた…!」


ウシワカはいつものことで慣れているのか傷ついた様子もなく、ただ、にこにこ微笑んでいる。


「別に構わないだろう?
それはミーの自由さ」


手にしている愛笛、ピロウトークを玩びながら再び座るよう、イッシャクを促す。


「……そういうの、度がいき過ぎると変態とか、ストーカーに成り下がることになることを知っとけ。
つーか、別に俺の所に来なくても良いじゃねーか!
どピンク野郎はアマ公が好きで毎回来てんだろう?
…折角、気ぃ利かしてやってんのに……」


つまり、そういうこと。

イッシャクはウシワカがアマテラス目当てでよく訪れているのだと思っているのだ。

ぶつぶつ文句を良いながらも、隣に腰を下ろす。

ウシワカは目を見開いた。



何故、来る度に居なくなろうとしているのか疑問に思っていたけど……


まさか、そう思っていたとは…


……要らないお節介を焼いてたんだね…




ウシワカは微かに苦笑いを浮かべた。


「まぁ、一つの理由ではあるけど……。
ユーはミーのことをどう思ってるのかな?
あ、変態とかノーだから。
既に口の形が“へ”になってるけど駄目だから」


すかさず釘を刺しておく。

今はそんな答えを望んでいるわけではないのだ。


「………ちっ」


「ちっ?!」


悔しそうに眉間にシワを寄せてイッシャクは舌打ちする。

まさか、そこまでされると思わなかったウシワカは驚いた。

その表情を見たイッシャクは、堪らなくなって吹き出す。


「ったく、ややこしいんだよ、あんたは。
……関係とか、そっちのほうっつーんだろ?
……他人…ってのもあれだしなぁ……友達とか、そんくらいじゃねぇ?
友達じゃねぇけど」


真顔であっさり、すっぱりと“友達じゃない宣言”されてしまったが、今は目をつむっておこう。




というか、ミーは直視したくないよッ…!!




心の中で涙しながら考える。

ふ、と悪戯心に火が点いた。


「ふーん……そう思ってたんだ……フレンドくらいねぇ…」


薄く笑みながらイッシャクに顔を近づけた。



.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ