雑誌
□癒えないしるし×※
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※少し痛い表現が出てくるので注意!
とすん、と重みが膝に乗ってくる。
やりかけの仕事から目を離し、サマイクルは重みに手をやる。
ふわふわとした髪の手触りが心地よい。
突き放すのは惜しい気もしたが、仕事を休んでいられるほどの時間が今は無かった。
「オキクルミ」
名を呼びながら頭を軽く叩いて、離れるように促す。
だが、オキクルミは離れるどころか、サマイクルの腕を抱えて離さなくなってしまった。
どうも今日は甘えたい気分らしい。
こうなると、気の済むまで好きにさせるしかないことをサマイクルは承知していた。
どんなに突き放そうとしても逆効果で、やり過ぎると息ができなくなるまで抱き締められ、事態が悪化したこともあった。
この作業なら何とかなるかと思い直し、再び仕事を再開する。
その間も、オキクルミが腕から離れる事は無かった。
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