暗殺教室

□カルマの時間
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バチュッ!という音と同時に殺せんせーの触手が溶けたのである。


一体何が起きたのかとクラスメイトの視線が教室の床に集まった。


するとそこには複数の対先生B.B弾が散らばっていた。



「あっはー。まぁーた、引っかかった」



赤羽の声が教室内に響くと今度は発砲の音が鳴る。


これには殺せんせーも避けてはいたが、いつもの余裕は感じられなかった。



「何度でもこういう手を使うよ。それが嫌なら…俺でも俺の親でも殺せばいい」










『…そんなの……出来る訳がない』


「ん、何?日南さん、言いたいことがあるならハッキリ言いなよ」



思わず口出しをしてしまった私。

それにすぐに反応する赤羽。


これはもう後には引けない、そう思った私は覚悟を決めて口を開いた。



『殺せんせーは人を殺さない…殺すことが出来ない。それ位分かっているでしょ』


「日南って冷酷な人間って聞いていたけど、案外優しいんだね。そうやってオブラートに包んだ発言なんてさ」


『…それは、』


「人を殺した瞬間からもう誰も先生とは見てくれない。ただの人殺しのモンスターになるから…。そう言いたいんだよね」


私はそれ以上言い返すことが出来なかった。


赤羽もそれを感じたのかニコッと笑うと、小テストを殺せんせーに渡してそのまま教室を出て行ってしまった。


静けさに包まれる教室。


殺せんせーは何も言うことなく、ただ黙っていた。


私は机に置いてあった小テストを握りしめ、殺せんせーにそれを渡すと赤羽同様に教室から出て行った。









ーーーーーーー…


教室から出た私はそのまま学校を出て駅に来ていた。

(どこかに寄ろうかと思ったけど…今日はこのまま家に帰ろう)


改札口を通り駅のホームに行くと、学生の帰宅時間と重なったらしく学生が沢山いた。


こうしていれば私だってここにいる学生と何一つ変わらないはずなのに…やはりどこか劣等感を感じる。


そんなことを思っているうちに電車がホームに着いた。


乗ろうとしたのだが、いつもの癖で他の学生が先に乗ったのを確認してから自分もそれに続く。


3ーEになってからは、自分達は何事に対しても一番最後というのが身体に染み付いていて、学校外でもそれが出てしまう。


私は一番端の座席に座り、目をぎゅっと瞑って何も考えないようにした。


少しでも現実から目をそらす為に。


そんな私を一人の少年が見ていたことに、私は気が付かなかった。




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