暗殺教室
□暗殺の時間
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『クラス全員でも殺せないのに、潮田君一人だけなんて…絶対に無理だと思うけど』
「でも何かいつもと違う気がする」
『…どこが?』
「普通過ぎるんだよ。先生を殺す時って何かしら殺気があるはずなのに、全然そういうのが感じられないんだ」
確かに言われてみれば潮田君はいつも通りで、先生でさえも危険を感じていないように見える。
…でも何かおかしい、というか悪い予感がする。
潮田君の性格からしてみれば、彼から何かを起こすタイプではないこと位、この少しの学校生活の間で分かった。
(もしかして…)
私はチラッとその元凶の元となる人物に視線を向ける。
"寺坂竜馬"
潮田君を使って何かを起こすとしたら、この人しかありえない。
案の定寺坂君はニヤニヤしながら教壇を真っ直ぐ見ていて、私の視線等気付いていないようだった。
その時私は彼の手に何かのスイッチを持っていることに気付き、もう一度潮田君を見る。
…やっぱり悪い予感は当たった。
潮田君の首元から見えた紐らしき物、きっと何かをくくりつけているに違いない。
寺坂君のスイッチ、そして潮田君の首に掛けられる位の大きさで、先生を殺せる物と言ったら遠隔操作の爆弾ではないのか。
私の考えが当たっているなら先生だけじゃなく、潮田君も危険に晒すことになる。
私は勢いよく椅子を引き、教壇にいる先生と潮田君に向けて叫んだ。
『二人共危ないっ!!』
「にゅあ!?日南さん、いきなりの大声は先生の心臓に悪いですよ」
『いいから先生は潮田君から離れて!!』
「何言って、………っ!!」
私の忠告も無意味だったらしく、先生は潮田君に抱きつかれたまま、寺坂君のスイッチによって爆弾らしき物が爆発した。
教室内にはもくもくと煙幕が漂う。
私は極力煙幕が体内に入らないように、気を付けながら恐る恐る教壇に近付いた。
すると教壇の前で倒れている潮田君を見つけ、慌てて声をかける。
『潮田君っ!潮田君っ!!』
「…………っ、…日南さん…?」
私は彼の肩に手を入れて上半身を起こしてあげた。
命に別状はないみたいで安心したが、私はあることに気付いた。
『あの爆発の中、無傷って一体……』
思わずそう呟いた私に天井の方から「間一髪でしたね」という声が聞こえた。
はっ、として上を向くとそこには先生が天井に張り付いていて、私を見るなりニコッと笑った。
先生が床に足を着けた頃には先程の煙幕もなく、教室内が見渡せるまでになった。
すると元凶の元となる寺坂君がこちらに近付いて来て、何かを持ち上げた。
「おい、何だよこれ…」
『…皮?』
どう考えても先生がやったのだろうと思い、先生の方に目を向けるとそこには驚きの姿があった。
先程のようなうすピンク色の顔や、私に向けた笑顔はなく、真っ黒になった顔色。
これは誰が見ても分かる。
正真正銘、先生はド怒りなのだ。
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