文
□ささくれ
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ささくれがマフラーに引っ掛かって痛かった。
冷たい風が頬をかすめていき、ただそれに立ち向かうかのように微動だにしない俺様。
これは、ある意味戦いだ。
負けられるかよ。
「本当に、来るのか?」
俺が白い息とともにこぼしたのは疑問と不満。ただそれは隣に立っているジローに対してではない。
「来るよ。」
ただ一言、そう呟いてジローはそのまま黙ったから俺もそれ以上何も言わなかった。やけに真面目な顔をしている。普段見慣れないその表情は俺にひとつの確信を与える為なのかもしれないが、逆に俺は疑いを晴らすどころか不安を煽られ、内心落ち着いてなどいられなかった。
信じていいのか?
信じたい
けれど
・・・・
指先で剥けたささくれが痛い
冷たい風が頬を切る
足元で枯れた落ち葉が舞った
待つしかないんだ
今はただ
【ささくれ】
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