Fly and fly!!
□お姫様の欲しかった物
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私は何でも持っている
洋服も、ブランドも、宝石も、何でも
だって一国の姫だから
頭がおかしいとかじゃなくて、本当に
物は何でも与えられた
欲しい物も、そうでない物も全て
美貌だって持っていたから、いろんな国の王子が私に結婚を申し込んできた
そのたびに私は、私が一番喜ぶ物をくれたらその人と結婚すると言った
ニホンに伝わる“カグヤヒメ”がいい例だと思う
王子達は皆、洋服やブランドや宝石など、沢山のお金を注ぎ込んだ物をくれたけど
私は全然嬉しくなかった
だって既に持っていたから
そんななか私の両親、つまり王様と王妃は何とか私を結婚させようと
もっと沢山の国に婚約者を募った
しかし、やっぱり私を喜ばせる物をくれた人はいなかった
それからしばらくして城の人達が殺された
王様と王妃はもちろん使用人達も例外なく
涙は流れなかった
両親は私に物を与えてくれたけど、それ以上でもそれ以下でもなかったから
そして血染めの城の中、私のもとに1人の男の子が現れた
全身血み泥でナイフを持った彼は王子らしい
名はベルフェゴール
七つの大罪を司る悪魔と同じだ
彼は言った
「オヒメサマ、俺と一緒に来ない?」
と
私は聞いた
『あなたは私に何をくれるの?』
すると王子は一言
「最高の愛とスリルをあげるよ」
と笑った
お姫様の
欲しかった物
(それは物じゃないモノ)