ミカガエ
□お題『小さいころのお互いの夢を語りあう』
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「…三日月、お前の話にオルガが出てこないものはないのか?」
「は?人に訊いておいて何それ」
「いや、文句をつけているわけじゃない。
だがお前の子供の頃の話を訊いたはずが…
お前が願っているのは、全てオルガの傍らに居ることに帰結するような気が」
「だったら?」
「……」
「オルガが見せてくれるモノが見たいのと、俺たちの本当の居場所に行こうって、約束した。
それが叶えばいいっていうそれは、ちゃんと俺のものなんだけど」
「……そうだな」
「…あのさ、アンタは俺と会う前にあったことまで気にするのは止めたら。キリがないだろ」
「気にしてなど」
「気にしてる。
俺はそういうのゴメンだから、アンタの昔話とか夢の話とかわざわざ訊いたりしないけど。
アンタとチョコの人の話なんか聞いたって面白いワケない」
「っお前、本当に潔いな。俺には到底真似できん」
「別にしなくていいんじゃない。
キリはないからやめたらって思うけど、アンタがそうやってるの見るのは嫌いじゃない」
「…くそ。だが最初から話す必要が無いと言われるのも気に食わんな。
ならマクギリスが絡まなければいいのか?」
「いや…昔話なんてしたってしょうがないだろって話なんだけど」
「ふむ」
「しつこいよ。
ていうか逆にさ、アンタ夢とかあったの?なんかやりたいことやりたいだけやってそうに見える」
「っ…お前…痛いところを突くんじゃない…!」
「え、当たり」
「…まあな。その場で望んだこと以外に、夢。そう言われると―…」
「アンタ、結構やろうと思えばその通りにできたとか」
「だからからかわないでくれ!どうせ俺は器用貧乏だ。最近自覚して身につまされているところだというのにお前は」
「じゃあギャラルホルンも」
「それもまあ…夢に見たことではないな。
生まれた家が家だけに当たり前だと思っていたようなものがあって…」
「あっそ、じゃあ元々俺に偉そうなこと言えた立場じゃないんだ」
「ぐ…
!いや待て三日月、夢くらい俺にもあるぞ」
「いいってだから…聞いて欲しいわけ?」
「ああ」
(ぎゅう)
「なに?」
「お前の横で…お前と、マクギリスに目に物見せる。それだ」
「え、それって今のアンタだろ。子供の頃って話じゃなくなってる」
「…合っている。俺はあの日、マクギリスに殺されたようなものだ。
それで、お前の手を取ったあの日から今の俺ができて、…だからそれで合っている」
「じゃあアンタ、まだ1歳かそこらのお子様ってこと」
「茶化すな」
「だってそっちが面白いこと言うから」
「人の本気を」
「えっとその、笑ってごめん。
…じゃあ夢とか昔話とか、アンタのそういう話ってもう俺と鉄華団しか出てこないの?」
「ん?おお、そうなるか。そうだ」
「そういうのならいいよ。話して」
「長いぞ。それこそ死んだどこぞのガエリオ・ボードウィンの一生分より、お前に話したいことはずっと多い」
「じゃあ俺、食い物探してくる」
「ああ、俺も行こう。お前、火星ヤシ以外も見つけろよ」
「美味いのに」