箱庭
□七夕☆ロマンチック 〔狂い人より〕
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夜。
昼と比べて、かなり涼しい夜。
今日の最高気温は32°
もう夏だ。
僕の学校にクーラーはなく、教室は地獄絵図となっていた。
そんな昼とはまったく違う、夜だ。
太陽は別の場所へ去ってしまった。
月は嬉しそうに輝き、自分の存在をアピールしている。
窓を開けると、少し冷たい風が入ってきた。
これはもう、外に出るしかない。
僕は屋根に登り、手に持っているシートを敷く。
滑って落ちたりしないかな…。
背中がムズムズする。
まぁ、落ちたら落ちたで…いっか。
取り敢えず、シートの上にゴロンと横たわる。
空はちっとも暗くなんてなかった。
キラキラと星が輝く。
しかも沢山。
あれ…もしかして今日って……
「フーちゃーん♪」
「うぉっっ!!」
突然の声に驚いて、体がビクンと動く。
それをきっかけにシートは滑り出す。
慌てて、手足を伸ばして止める。
瓦がカタッと音を鳴らす。
「あ〜……惜しかったねぇ…。」
「わざとなのか!?」
「まぁ、フーちゃんなら落ちても死なないから大丈夫だよ。」
「何の根拠が!?」
「なんたって、フーちゃんは人の子じゃないからね!スーパーサ●ヤ人だからねっ!!」
「うっせーよ!!」
これ以上シートの上に寝転がっていたら危険なので、シートを畳む。
「う?もうゴロンってしないのぉ?」
声の主は、もちろんキララで、白いワンピースをなびかせながら、彼女は同じ屋根の上に立っていた。
白い髪は、どこからの光を反射しているのか、キラキラと輝いている。
白い肌を、惜しみなく出して、彼女は僕に笑いかける。
「…その服、露出多くないか…?」
「ほぇ?そう?普通じゃない?普通のワンピースだし。」
「…まぁ…そうかもしれないけど…何か羽織ってこいよ。寒くないのか?」
「ん〜…じゃ、フーちゃんの服かして?」
「分かった。ちょっと待ってろよ?」
「いや、そーでなくて。その服。」
指を指される。
小さな小さな白い指は、真っ直ぐ僕を指していた。
「…え?その、つまり…このシャツを脱げと…おっしゃるのですか…?」
「うん。ボタンだから、上から羽織れるし。長袖だし。」
「いやいや、これ脱いだらお前より露出多くなっちゃうから。」
つまりは、下には何も着てないわけで。
上半身裸で星を見たところで、全然まったくロマンチックじゃなくなるわけで。
何が悲しくて、こんな日に夜空の下、半裸にならにゃならんのだ。
「…とにかく…取ってくるよ。すぐ戻るから。な?」
「え〜、それじゃダメだよぉ。願いごと叶わなくなっちゃうもん。」
「どんな願い事だよ…」
「“フーちゃんに風邪をひかせます”」
「何の宣言!?」
「えへへぇー♪ロマンチックでしょー♪」