本編
□第十四話
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木村さんの怒る姿を見て、俺は少し笑った。
それを見て、木村さんは急に悲しそうな表情をして、俺の頭を撫でてきた。
「なんですか?」
「さぁ、何だろうな…。
てか お前、また痩せたな。ちゃんと食わねぇと大きくなれねぇぞ。」
「…食べたく…ないんですよ。」
「死にたいからか?」
「 ……… 」
「お前、まだそんな事考えてんのか?
死んであいつが喜ぶ訳ねぇだろ?」
そんな、ありきたりの事を言われて、俺の心は急に冷めた。
「分かってますよ、そんなこと。」
「じゃあ、なんで…」
「仕返しですよ。
俺がされたように、あいつを悲しませてやりたいんです。」
「…お前って、顔に似合わずSだな。」
「そんなこと、初めて言われました…」
そう呟いて、俺はまた横になり、布団を被った。
木村さんのため息と同時に、さっき点滴の道具を取りに行った男が、慌ただしく部屋の中へ駆け込んできた。
「おぉ、遅かったな。
って、お前 手ブラじゃねぇか…何しに行ったんだ。」
「いや、それどころじゃなぃんスよ!!
組長が、こっちに向かってるらしぃんス…!!」
「聞いてねぇぞ、そんなこと…」
自分が知らなかった事が悔しいのか、木村さんは舌打ちし、携帯を取り出し、何やら連絡を取り始めた。
「おぅ、鉄さん、急に悪いんだけどよ、今 組長が何処にいっか知ってっか?」
『 ――― 』
少し低いノイズが聞こえた。
「マジかよ…あぁ、分かった。こっちでなんとかする。」
『 ―― ? ―――― 』
「サンキュ。おぅ、じゃ、また。」
そう言って電話を切り、木村さんは何度目か分からないため息をつき、頭をかきむしった。
そのイラついた様子に、子分が緊張して固まる。
少しの沈黙のあと、木村さんは急に俺の布団をひっぺがし、服を脱がし始めた。
「ちょ…っ!!何すんですかぁ…!!」
あまりに急なことだったのと、驚きで、俺は木村さんを力一杯 押し退けた。
「うっせぇな、女じゃあるめぇし…」
「な…っっ!!」
「あ、兄貴…大胆…///」