本編

□第八話
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「弱味を握ったつもりですか?」



「いや、そんなつもりはないよ。ただ言っただけだ。気にすることはない。」





「調べるとか止めてくれませんか?聞けばいいことでしょ。

 別に俺は、あんた達に隠し事する気なんてない。聞けばなんだって答えるつもりでいる。

 …それなのに…あなた達は人として、恥ずかしくないんですか?」







またしても説教をしてしまった。




でも、今回は逃げることも、組長に臆することもなかった。



俺はジッと、組長にガンを飛ばし続ける。




組長の笑顔が消え、目が合う。





「君は本当に面白いな。私を怖いとは思わないのかね?」



「バリバリ思いますよ。

 けど…言わないと、なんか嫌なんです。自分の気持ち、分かって欲しいから…。」






そうして俺は、組長の気持ちを知りたかった。



作られた笑顔の下にある、本当の顔。



あんな一瞬の物じゃなく、本音も本心も見たい。






   あなたは一体

   どういう顔で


   本当は何を


  言いたいんですか?







「…君に…どうして、あいつが引っ付いているのか…やはり分からんな…。」





ふっと、組長は悲しげに笑った。



それは組長の本当の顔だった。





「あ……」





何か言ってあげたかった。



組長の言葉は入って来ない。



ただ、悲しそうな老人は見えた。





    あぁ、

  この人も ただの


おじいさん なんだな…





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