本編

□第七話
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   蝉の声が響く

    外の世界




道を歩いていても、耳に入ってきて、他の音は何も聞こえなくなる。






   隣を歩く俊


 俺達に言葉はいらない




黙って歩くだけで、2人はその時間を幸せだと感じることが出来る。






   蝉が飛んだ



    2人で

  蝉の姿を目で追う




    空を仰ぐ


   雲が一つもない




    真っ青な空







「俺、空の色好き。」





空を見ながら言う。


俊は何も言わずに、空を見ている。



黙ってるってことは、俊もそうなんだろう。






  黙ってても分かる

     俊の心




いつの間に俺達は、こんなに近くなったんだろう……。






俊は歩き出した。



暑いんだな?

早く家に帰って、クーラーの入った部屋で、ゴロゴロしたいんだな?






俺がいつまでも立ち止まっているので、俊は振り向いた。






「スーパー何処か、俺知らねぇーんだぞ。お前が先歩け。」



「あっごめん。」





俺は俊の所まで走って行った。





スーパーにアイスを買いに行くくらい、俺1人でも良かったのに、珍しく

「俺も行く」

なんて言い出した。




きっと、他にも何か買って欲しいんだろう。






「アイス、何にしよっか。」



「見ねぇと分かんねぇーだろ。」



「ははっ、そうだね。」





俺はただ笑いながら、照りつける太陽の下、俊と一緒に歩いた。











スーパーには当然、何種類ものアイスがある。


それを見て、俊はどれにしようか迷っている。



何度も行ったり来たりして、仕舞いには子供とぶつかった。
(その後、子供は怖がって逃げた)



その様子を見ているせいか、自分もどれにするか中々決まらない。





ふと視線を落とすと、赤く“40円”と書かれた値札があった。





「あっ!俊、凄いよ!?このかき氷、40円だって!安いねぇ〜。」





俊がそれを見に走ってくる。





「どこ!?」



「ホラ、これ。」



「…この店、大丈夫なのか…?」





本気で俊は店の心配をしていた。




俺はかき氷を一袋手に取る。


これにしよう。




すると何故か、俊もかき氷に手を伸ばした。





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