本編

□第二話
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「あなたの趣味はなんですか?」




手に汗がにじむ。


暑くて暑くて堪らない。




「はい、私の趣味は料理と読書です。」



「ほぅ…そうですか。では最後に、この仕事を選んだ理由をお聞かせ下さい。」




顔が赤くなっていないか心配だ。




「はい、私はこの仕事で―――――――。」






     あぁ
   早く帰りたい













面接を終え、ハンカチで額の汗を拭う。



日差しが熱い。




首元が窮屈で仕方ないので、ネクタイを取り、ボタンを2つほど外す。





 久々に着たスーツ



   圧迫される心




昔なら身も心も引き締まるような気がして、嫌だとは思わなかったのに。





  変わった。

     いつから?





そんなの分かっている。

…分かってる。



自分がいつから可笑しくなったのか。

ちゃんと分かってる。




 だから苦しい

 だからこんなに悩む

 だからこんなに圧迫される





まるで自分の回りの空気が、いや、地球、世界、そのものが、自分を、圧迫しているようだ。





「あーぁ…。気持ち悪ぅ…。」




早く帰ろう。

帰ってシャワーを浴びて、カップラーメンとサラダを食べて、そして今日は早く寝よう。




早く、忘れられるように





    あぁ

  あれから3ヶ月

  経ったんだっけ





「はぁ…また思い出してるし…最悪…。」





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