Daily-Glue.

□6.一学期が終わらない
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「紅香、中世のおフランスの文化をピックアップしたHPを見つけた」
「…ありがと、適当にコピーしてくれたら嬉しい」
「ねぇ紅香、サンキュロットっていうのがあったらしいわよ、それが、」
「…印刷してて欲しい…」

ルキアと乱菊がPCの前に座って色々ググッてる間私は、
地図帳を片手にレポート用紙と戦っていた。
「セーヌ川…、あー、で、ここはスイスと隣接してるナントカ山脈で、…」
改めてみると、私がいかに地理が苦手かを痛感してしまう。
コピー機がガタガタいってる横で、私はひたすら眉間に皺…。

どういうシチュエーションなのだろうか。

そして、軽く1時間半が経過。
「…紅香、あまり時間がかかる様なら、印刷したのはアタシ達でまとめるわよ?」
机と私の間に、乱菊が、ぬ、っと顔を覗かせる。
…こんな長時間協力させた上にこんなことまでやらせるのは気が引けるけど。
でも、この際それも仕方ないような気がしてきた(それくらいピンチ)。
「…ごめん、二人とも。恩に着るね」
私は半泣きでお礼を言い、地図帳との戦闘を再開した。

そして、更に30分後。
「で、…できた!!!」
ついにラスボスを倒した私は、両手をガバァっ、と上に上げた。
勢いで、地図帳も高ーく宙を舞った。←
「お疲れ、紅香 。こっちも完成したわよ♪」
乱菊が、満面の笑みでレポート用紙2〜3枚を手渡してくれた。
…乱菊の表情とは裏腹に、ルキアの顔はがっそり。相当お疲れのご様子。
何だか、ルキアに申し訳ないような気がしてきた、と言うか申し訳ない。

ありがとう、と何度も礼を言いながら、私は職員室へ走った。
そして幸い、地理の爺ちゃんはまだ自宅に帰っていなかった。

…よっしゃ、これで私にも夏休みが…。

 
 
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