黒崎一護夢
□Fortune Bell
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大晦日の、夜11時頃のことだ。
住宅街の少し細めの路地を歩く影が、一つ伸びている。
「何なのよ全く…。稜も母さんも、こんぐらい自分で行きなさいよ…。
どこの国に女子高校生を深夜にほっつき歩かせる親がいるのよー…」
とか何とかひとりごちながら歩いているのは、空座第一高等学校1年5組所属の、山吹郁であった。
右手には温かいおでんの入った茶色のビニール、左手にはこれまた温かい肉まんが入っているビニール袋を引っさげている。
しばらく歩いて3つ目の角を曲がったときコートのポケットに入れていた郁の携帯が、着信を知らせるバイブを起こした。
「あーはいはい、お次は何を買って来いって言うのかな母さんは?」
用件を聞く前からそんな不満を口にしつつ、
郁は携帯を取り出した。
意外なことに送信元は母親ではなく、
中学のときの同級生、…黒崎一護だった。