黒崎一護夢
□Chocolate Lilyyarn
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2月13日の、夕方である。
郁は、顔じゅうチョコレートにまみれながら、必死に何かを作ろうとしていた。
「何、このベトベト感っ!?もっとちゃんと溶かせば良かった…」
キッチンの惨状からは想像も付かないが、郁は、チョコレートケーキを作ろうとしているらしかった。
「このままじゃ友チョコ、明日に間に合わないよ…」
半泣きになりつつも、郁はとりあえず散らかった部分を片づける。
片付け終わると、郁は、物凄い勢いで携帯電話に手を伸ばした。
ブブブブ、ブブブブ…
勉強机に置かれた、一護の携帯が、小刻みに震える。
英語の予習をしていた一護はその手を止め、携帯電話を手に取った。
「もしも…」
「黒崎、助けて!!!」
「何だとっ!?今、何処だ!!」
「…家…」
「分かった、すぐに行く。待ってろ!!」
一護は通話ボタンを切り、代行証をズボンのポケットにつっかけた。
「どうした一護。恋人からの電話か?」
ルキアが、興味津々、といった様子で訊いてくる。
「さあな。中学の時に知り合った奴だよ。…今は、一高らしいけどな」
一護は口早に答え、部屋を出た。
目指す先は、郁の家である。