Daily-Glue.
□15.一週間ちょっと
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まさか、新年早々こいつに会うなんて。私は、少しばかり慌ててしまった。
「ひ。日番谷!?あ、あけましておめでとう」
「おう…。それより鈴平、お前、怪我はして無えか」
「いや、全然。私は大丈夫…。日番谷は?」
たまには日番谷も、他人をいたわる様なことを言うらしい。
それで私も思いっきりつられて、何だかあたたかめな言葉をかけてしまった。
…別に、悪い気はしなかったけどね。
「俺も、ほとんど無傷だ」
膝をはたきながら、日番谷が立ち上がる。
数週間ぶりに見た級友の顔は、何だか疲れているように見えた。
無理もないよね。受験直前だし、私たち。
「ねぇ、日番谷、あのさ」
「鈴平、新年早々そんな疲れ切った顔して、何をやってんだよ」
私が言い終わる前に、日番谷が口を開いた。
…最後まで人の話聞けっての…なんて思ったのは置いといて、
「11日に瞬命堂高校受けに行くから…。今が追い込みなの」
「あぁ。お前、そう言えばそうだっけな。まぁ、頑張れよ。応援してっから」
「…ありがとう」
そういう日番谷も、今月末、わざわざ首都圏に受験しに行くんじゃなかったっけ…。
「日番谷も頑張ってね。今月末でしょう?」
「まぁ、な…」
日番谷が、空を仰ぐ。
「…取り敢えず俺、今は急いでるから、また、今度な」
しばらく後、そう言い残して立ち去っていく日番谷。
またね、と小さく呟いて、私も帰路に着いた。
…班が解散しても、日番谷となら屈託無く話せるのではないか。
学校と塾でのクラスが同じ日番谷となら、励まし合えるのではないか。
そして春には、お互いに受験も無事に終えられるのではなかろうか。
根拠なんて無かったけど、私は自信を持ってそんなことを考えていた。