みそにこみ

□シュラ誕12
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「まだ、いたのか」
「忘れものを、した」
「あの、カミュ」
「何だ」
「……俺の誕生日、1月12日なんだ」
「……」
「その……明日、だ」
「ああ、そのくらい知っている」
「……そうか、わかった。もう帰ってくれ」
「シュラ?」
「帰れ、頼むから帰ってくれ」
「待ってくれ、シュラ」
「もう二度とここに来るな!帰れ!」
「落ち着いてくれ」
「落ち着け?俺は落ち着いているじゃないか。お前こそさっさとシベリアに行って冷静にでもなるんだな」
「話を聞いてくれ」
「煩い、お前の話など聞きたくない。早くどこか行け」
「驚かそうと思ったんだ」
「……」
「当日、いきなり現れてびっくりさせる算段だった」
「そんなの、いらない」
「すまなかった」
「ただ、傍にいてくれればそれだけでいい」
「ああ、そうしよう」
「もう、誕生日に泣くのは嫌なんだ、あの時みたいに」
「本当にごめんなさい、あなたの心を深く傷つけてしまった」
「いや、言わなかった俺が悪いんだ、いい年して恥ずかしいな」
「そんな事、ない」
「これからは言うぞ」
「もちろんだ」
「あんまり長くシベリアに行ったっきりになるな」
「わかった」
「そして、長くなりそうなときは連絡をくれ」
「ああ、そうしよう」
「たまに、その、抱きしめてくれ」
「ああ…………いいのか!?」
「当たり前だ」
「たまにじゃなくてもいいだろうか、毎日でも」
「別に、構わない」
「よし、では失礼して」
「冷たいな」
「体温は高い方ではないからな」
「でも思ったよりは温かい」
「人間だからな」
「最初は人間じゃないかと思った」
「何と」
「というのは冗談だが、昔のお前は本当に小さくて氷の精が現れたのかと」
「失礼な……」
「しかしこうやってしっかり背も伸びたし、立派に黄金聖闘士として育った」
「シュラ、もう子供扱いはやめてくれ」
「別に子供扱いなどしていないだろう、ただ」
「今度子供扱いしたらこうだからな」
「いや、今……」
「さて、明日はどうしようか、アフロディーテと、デスマスクが来るんだな?」
「あ、あぁ……あとは、シャカとサガに……アイオリアも来てくれるそうだ」
「ミロも来る気満々だ……ムウとアルデバランもプレゼントを用意していると言っていたし」
「みんな……か。盛大だな」
「減らすか?」
「いや、構わない。たまには皆と過ごすのもいい」
「その……今日は、私と過ごそう」
「シベリアに行くって言ってたくせに」
「……」
「冗談だ、もう怒ってない」
「本当に怒ってないか?」
「本当だ」
「じゃあ、しよう」
「は」
「しよう、今からなら何回もできる」
「と、突然バカを言うな!」
「脱いでくれ。いや、私が脱がすから待ってくれ」
「どっちだ!っつめたっ!」
脇腹に指先が当たると、彼の体は逃げる。
「大丈夫だ、思ったより冷たくないはずだろう」
腰に手を滑らせるとびくりと体が震えている。
「せめてベッドに行かないか、風邪引きたくないし」
「わかった」
「こら無理するな、これでできなくなったら怒るぞ」
彼を抱き抱えて寝室へむかおうとすると、抵抗された。
彼の方が体格が良いため、動かれると運び辛い。
しかし嬉しいことを言ってもらえた。
「無理などしていない、大丈夫だ、できる」
「まったく、そうやって見栄を張るなんて、」
子供扱いはされたくないのでその口を唇を塞いだ。

「なぁんだ結局いるじゃないか」
「本当だ、シュラのやつ心配させやがって」
「ま、よかったよかった」
「取り込んでるみたいだし帰ろうぜ」
「そだね。お楽しみ中だろう、邪魔者は退散しようか」
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