変な夢

□ふわくるホイ☆
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ふわくるホイ☆その1 

髪の毛伯爵はカルディア様の髪の毛に触りたい欲求に悩まされていた。髪の毛伯爵の特定の髪の毛に対する執着は異常なまでだ。
それは聖域で広く噂されていた。

『髪の毛伯爵は変態だ』
『あいつに近づくとハゲる』

あることないこと噂され、時には罵られた。
そんな髪の毛伯爵に親しい友人はいなかった。

「皆、俺のことを勘違いしている。」
髪の毛伯爵はつぶやいた。
自分はただ単に髪の毛が好きというわけではないのだ…
「カルディア様のようなふわふわしてくるくるしている髪の毛限定ですきなのに。・・・」
しかし世間では変態扱いされている。

「俺は変態なんかじゃないぞーーー!!」

朝方の聖域に悲しげな叫び声が響いたのだった。



その日の夜、髪の毛伯爵に教皇から移動の通知が届いた。
彼の仕事は十二宮周辺の見回りを中心としていた。
最も髪の毛伯爵はサボってばかりだった。
彼の日課は見晴らしの良い場所を見つけては居眠りをすることだった。
1度居眠りしているところを射手座の黄金聖闘士に見つかって大目玉を喰らった。
しかし、髪の毛伯爵は反省していない。
『雑兵一人いようが居まいが大して変わらないだろ…どうせ捨て駒なんだから楽しまなきゃ損!』
というのが彼の言い分である。

居眠りが日課になったのには理由があった。
数年前、夢の中に憧れの髪の毛の持ち主、蠍座の黄金聖闘士様が現れてその御髪を触らせてくれた。
そのふわふわした感触が髪の毛伯爵は忘れられなかったのだ。
願わくばもう一度、夢でもいいのであの髪に触りたい。
もっと欲をだすと、死ぬ前に1度でもいいからあの髪の毛の匂いを嗅ぎたい、夢などではなく本物の!
汗くさいのかなー埃のにおいかなーそれとも意外に石鹸の匂いとか??

彼は時間があればそんな妄想をしていた。

周囲から見ればニヤけた顔で「フフフ…」と何かを呟きながらはぁはぁしている髪の毛伯爵は変態以外の何者でもなかった。


「せっかく今の仕事に慣れてきたのに・・・面倒くさいな。次の勤務地は・・・十二宮?うげげ。黄金聖闘士様の手伝いか?早死には勘弁だぜ・・・」
髪の毛伯爵は長々と書かれた通知にうんざりした。
伝えたいことは簡潔に3行でまとめてもらいたい。自分に必要な箇所だけを拾っていく。
「はいはい。で、場所は…って、ててんかつきゅう?!」

・・・・え?てんかつきゅう??
ええ??天蠍宮ってあの天蠍宮?

髪の毛伯爵は読み間違いではないかと、震える手に握られ、くしゃくしゃになった通知書を何度も読み返した。
しかしそこにははっきりと、

『移動先は天蠍宮。仕事の詳細は現地にて指示する』と書かれていた。

髪の毛伯爵は喜びで全身を震わせ、声にならない悲鳴をあげた。

ああ、神様、仏様、アテナ様…

ありがとう!!

カルディア様のお傍に行けるならやっぱり早死にしてもいいや!!

髪の毛伯爵は胸の高鳴りを押さえられないまま眠れぬ夜を送った。



やっほーい



つづく
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