みそにこみ

□シュラオメデト!
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一発目はカミュシュラで…。時間軸が理解不能。
ヤった後って設定です。
予想以上に気持ち悪くて勝手な設定になってます。

ドンマイだぜ、自分。




夜中に目が覚めた。
不思議なほどに目が冴えて、すぐにまた眠るのは難しそうだ。
隣には、この宮の主が眠っている。
彼を起こさないよう、静かにベッドを出て水を飲みに行く。
月明かりがいつもより眩しい。
窓から空を見上げると大きな満月が浮かんでいた。
深夜にすることもないので、冷蔵庫の中にあった水を飲んだ後は、ベッドサイドで月を見ながら物思いに耽る。

この人をこんな風に思うようになったのは、いつからだったろう。

幼少の頃は、隣の宮だったせいか、普通に世話を焼いてもらって、迷惑を掛けもした。
仲は良かったが、特出するほどではなかった。
彼には尊敬する偉大な英雄がいて。
まだ会ったことの無い女神よりも、その人が彼の全てであるかのように見えた。
その後、英雄は逝去した。
正しくは教皇命令に従った彼の手によって殺害された。
その間、弟子の育成でシベリアにこもっていた自分。
一方、聖域で偽の教皇――サガに仕えていた彼。
全くと言っていいほどに違う道を選びとった二人が、
今ではベッドを共にしている。
「不思議なこともあるものだな」
そう一人呟き、眠りについている彼の硬質な髪を触る。
デスマスクが毬栗の様だと言っていたが、自分はこの硬さが好きだ。
「カミュ、何だ」
深く眠っていたと思ったら、そうでもなかったようだ。
寝起きの、いつもよりさらに鋭い眼がこちらを捉える。
「すまない、起こしてしまった」
「眠れないのか」
「ああ、目が冴えてな。起こすつもりは無かった。じきに寝る」
「別に構わんが、何で俺の髪なんか触ってる。自分の髪の方が心地いいだろ」
「いや、そんなことはない」
「よくわからん」
「あなたの髪に触れると、小さい頃を思い出す。ミロと模擬試合をした時、足を痛めてあなたに肩車をしてもらった」
懐かしい思い出だ。
珍しく大泣きした自分を、あやすかのように肩車をしてくれた。
「そんな事もあったな。でもだいぶ昔だぞ」
「ああ。でもこの感触はあの時と変わらない」
程よく硬い、ちくちくとした手触り。
「毬栗か」
「いや、カシミアだ」
「そういう冗談は好きじゃない」
何故冗談でそんなことを言うと思うのだろうか。
「カシミアだ」
「だから」
「私にとっては何物にも変えがたい、高級品だ」
「…もう好きに言え」
恥ずかしくなったのか、目を閉じた彼の瞼に、すかさず唇を落とす。
いきなりのことに、彼の体がびくりと跳ねた。
可愛らしい反応に笑みをもらすと、げんこつが飛んできた。痛い。

しばらくじゃれた後、時計に目をやると午前の四時をさしている。
「今日は誕生日だな」
「ああ、そういえばそうだったな」
「プレゼントは何がいい」
貴方にぴったりのものを用意した。
あえて言う必要は無いが。
「別にいらないぞ」
「食事にでも行くか」
一ヶ月前に予約を入れた。
あえて言う必要は無いが。
「わざわざ気を回さないでいい。普段と同じように過ごしてくれ」
貴方がそんな風に言うから
「残念だが、それはできない」
せっかくのサプライズも台無しだ。
「何故だ」
「もうプレゼントも買って、食事の予約も取ってしまったからだ」
「…それを、先に言え」
しかし、今驚いた顔が貰えたからよしとしよう。
「今日はとことん付き合ってもらう」
「それはこっちのセリフではないのか」
「そうかもしれない」
互いにくすりと笑いあう。
「もう夜が明けてしまうな」
「ああ。ほら、さっさと寝ろ。また出先のシエスタはごめんだからな」
私の頭をぐしゃぐしゃと撫でて、早く寝ろと言う。
まるで子ども扱いだ。
「気をつけよう」
反論の意をこめて、撫でる手を取ってキス。
そうだ、ひとつ良い忘れたことがあった。
唇を離して彼の名を呼ぶ。
「シュラ」
「何だ」
「誕生日、おめでとう」
言えた。
昨日の夜から一緒に居るので私が一番のりだ。
「ありがとう」
「では、寝ようかな」
「そうだな。おやすみ」
「おやすみ」
目を閉じる頃には、月が大分傾いていた。
 

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