みそにこみ

□Weekend in my room
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「おい暇人。遊びに来てやったよ」
「別に暇なわけじゃない」
「聞いたよ〜シベリアだって?しょっちゅう行ってるよね」
「それがあいつのライフワークなんだ」
「あっそう。あ、いい匂い。デス来てるんだ」
「おうよ。ダメ男のために甲斐甲斐しくランチを作ってやるわけ」
「私の分はー?」
「あるある。どーせ来ると思って」
「さすが」
「説法巡業だっけか?お前も人のこと言えね〜だろが」
「煩い。たった三日間だ。あと一日で私の沙良の君は帰ってくる」
「シベリアにインドか…同じ聖域だから、俺は安泰だなぁ」
「私だって、ちゃんと写真を持たせたし、瞑想する前は必ず拝むよう言ったから安心だ」
「面白いことするな、お前」
「そういう君こそ、サガは仕事が恋人みたいだぞ」
「いつもそうだからなぁ」
「なぁんだ、長年の余裕ってやつ?」
「余裕ってほどでもないけどな。何となく分かってきてる」
「いいねぇ…もう何年だ、10年?よく飽きないね、お互いに」
「適度な距離感。これ大事だからマジで」
「インドとギリシアくらい必要かな?」
「ははっ、か〜もな」
「シュ〜ラ〜できたってさ〜」
「お前本当に仕事以外だと死んでるな」
「いただきます」
「地味なりにショックうけてるんだよ。シベリアに、夏中だっけ?」
「あ〜確かに。地味なりにへこんでるわな」
「地味なりに、って冠詞いらないぞ」
「だってさ、もう平和になったってのに修行とか続けてるんだよー?」
「いつ不測の事態が起こるかわからない。奴の行動は正しい」
「だから、もっとまったりやればいいのにって話〜」
「そんなに修行修行ってさ、根詰めなくていいんじゃねぇのか」
「俺だって常日頃鍛練は欠かさない」
「もしかして修行以外に何か目的がある…とか」
「何だ」
「仮定の話をしてんだからそんな怖い顔すんなよ。いつもだけど」
「例えば…弟子とイチャイチャするとか」
「あ〜それ俺も思った!」
「夏中だろう?普通君が止めるか、そうでなきゃ連れてくよ」
「あの青銅は弟子だ。長年育てたのだから、水入らずで居たいのだろう」
「そうやって自分を納得させるんだな」
「青銅は若いよ〜。私たちとは十くらい違うわけだし」
「お前んとこだけだよな、年下彼氏」
「しょーじき上手くいってるの?」
「上手くいってない事はない」
「微妙な答えだな〜」
「そもそも何で付きあったかというのが気になる」
「確かに。オッケーしたのお前だもんな」
「別にいいだろう。そんなこと」
「私は、君が掘られる方とは全く思わなかった」
「俺は予想ついたぜ〜。コイツの性格的に」
「来るもの拒まず…体も拒まずって!?高潔だなんて笑わせるねぇ」
「うるさい、飯がまずくなる。黙れ」
「あれ、怒った」
「照れ隠し照れ隠し」
「でも、さ、何はともあれ…不安じゃないのかい、離れてて」
「だからあの青銅は…」
「青銅抜きにして、さぁ。物理的に距離あっても平気なの?」
「くだらない、あいつはずっとシベリアにいたんだぞ。こちらにいた時間より長いかもしれない」
「でも平和になったんだから、話は変わってくるだろ」
「…………」
「デスマスク、ここに居たか」
「サガ、仕事は?」
「早く片付いたのでな、これからお前に会おうと思っていたのだ」
「マジでか!マンモス嬉P!」
「シュラ、デスマスクを借りるぞ」
「早く持って帰ってくれ」
「おい、シュラ。さっき言ったことあんま気にすんなよ。お前があんまり辛気くさい顔してるから、からかっただけだ」
「私もだよ。あまり気にしないでくれ」
「別に…気になどしていない」
「うん、ごめん」
「…………」
「きっと手紙の一つでもよこすさ」
「そうだな」
「来なかったら私が書いてあげようか」
「いや、結構だ」
「あはは、残念」
「山羊座、通るぞ」
「構わん」
「む…シュラ、随分くだけているな…むしろだらしがないというべきか」
「シャカ!何故こんなに早く帰ってきたのだ」
「アフロディーテ。君も…だらしがないな」
「ああ、私の思いが通じたのかな」
「それが分からんのだよ。何故か君に会いたくなったのだ」
「シャカ…」
「それが答えでは不満かね」
「まさか!さぁ、双魚宮へ行こう。君のためにハーブティーをいれようか」
「私は煎茶で構わない」
「シュラ、アディオ〜ス」
「さらばだ」
「アディオス」

「(ふう…)」
「(不安じゃないか…だと)」
「(不安じゃないわけがない)」
「(帰って…こない、か)」
「(手紙でも書くかな)」
「(でも)」
「(邪魔になったら)」
「(何を、気にしている、真に受けているのか、二人の言ったこと)」
「(女々しい、俺の方こそ修業をすべきだな)」
「シュラ、ただいま」
「(幻聴まで聞こえるとは…情けない)」
「ただいま」
「(本当に、どうしようもないな)」
「涙するほど嬉しかったのか」
「…………………」
「ただいま、シュラ」
「おかえり」

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