マリみて
□Shinin'on-Shinin'love
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「うぁー…暑ーい…よく平気だねー蓉子。」
「だらしない声出さないで頂戴、聖。私だって暑いわよ。」
夏の日差しが、上からも下からも照りつける。
「コンクリから照り返す、この反射熱が鬱陶しいのよー…あー…」
「…まったく…」
ここは、コンクリートジャングルの真ん中。
私、水野蓉子と佐藤聖は、そのど真ん中にいた。
私と聖の周りには、古着屋やら、雑貨店やら、喫茶店やらが密集していて、沢山の人がその道を行き来している。
「で、何が欲しいの?」
私がとりあえず、そう聞くと。
「ん〜…とりあえず、蓉子の100%スマイル?」
と聖が答える。
暑いだのなんだのとダラけた声を出しておいて、こういう時だけケロッとして言う。
というか…そっちが100%スマイル浮かべてどうするのよ…。
「でも、こういうのデートっぽくていいよね♪」
鼻歌混じりで、聖は楽しそうに私の耳元で笑う。
私は、後半の単語にひっかかって、慌てて聖に忠告する。
「…デ…!?……あ、あくまで私はあなたの買い物に付き合うだけだからっ。いいわね?聖!」
「はいはい了解了解〜♪…おっ!蓉子!あそこイイ感じ!行ってみよっか!」
私は、聖に腕を取られて、引きずられながら思った。
(…絶対、奴は解ってない…。)
[Shinin'on-Shinin'love]
聖の買い物のハズが、いつの間にか私の買い物にもなっている事に私が気付いたのは三軒目の店だった。
「蓉子はこれとか良いんじゃない?」
「でもお客さんだったら、こういうのとかも似合いそう〜!どうですか?」
「おっ!それ良い!グッドチョイス!」
聖はというと、あの人当たりの良い笑顔で店員さんと話し込んでいた。
「というワケで、はい蓉子!これ着てみて!蓉子なら多分似合うよ。」
似合うといわれても…聖が私の体にあてたのは…”ワンピース”で。
…そして”多分”という言葉が気になる。
こういうの…嫌いでは無いんだけど…あんまり着ないというか…。