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□スパークリング・ガール3
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突然だけれど、うちの高校はそれなりなレベルではあるものの、世間一般では結構治安が悪いと認識されている。

あの兄弟が入ってからはまだマシにはなったらしいが、少なくともこれ以上評判が上がることはおそらくないと思う。

いつの間にか代々続いている、“番長”という存在がいなくならない限りは。



――――……



「……何してんの、陸。」



放課後。

なんとなくいつもとは違う道を通りたくなって、なんとなく裏庭に続く道を選んだのが人生最大の失態だ、と私は拒否を訴えかける頭の中でかろうじてそれだけを思った。



「……知らない。」



たっぷり三秒の間をかけて陸から放たれた言葉は、あまりにも今の状況とかけ離れすぎていた。



「いやいや知らないとかおかしいよね、なんであんたの周りにヤンキー共が転がってんの!?」



「なんか、いきなり訳分かんないこと言われたと思ったら襲いかかってきたから…まぁ正当防衛で。」



「…何したのあんた。」



人数的に見てもヤンキー達がカツアゲ目的で陸を襲ったわけではないことは明白だった。

あぁ…また問題を起こしてくれちゃうわけですか、この兄弟は。

こめかみを押さえながら陸に問いかけると、彼は拗ねたように視線を逸らした。



「…だから知らないって。

何、卯月は俺よりもこんな奴らの肩持つっていうの。」



「いやそういうわけじゃないけどさぁ…。

理由もなくあんたを襲うとかそれこそわけ分かんないじゃん。」



「どうせカツアゲとかでしょ。」



「この人数で一般家庭のあんたを襲うかね…。

そういえば、こいつらなんか言ってたんでしょ? なんて言ってたの。」



地面に転がっている一人をつつきながら私は陸に問いかける。

よほどコテンパンにのされたらしく、つついたくらいでヤンキー達は起きる気配を見せなかった。



「…なんか、“番長の仇”とかなんとか。

この学校ってまだそんな天然記念物並みの存在が生息してるの?」



「……。」



はっきり言っておこう。

(今回は多分陸単品だけど)この兄弟は揃いも揃ってトラブルメーカーだ。

それは日常の些細なことからスタンダードな色恋沙汰、果ては一歩間違えれば警察のお世話になりかねない事件もどきなことまで、とにかく色々な厄介ごとを持ち込んでくれる。

そんな事件に不運ながら今まで毎回巻き込まれてきた私だけれど…今回のは……。



「…警察沙汰かぁ……。」



こめかみに当てていた指をいったん外して、私はいよいよ頭を抱える。

“番長”って…“番長”って……!!

よりにもよってなんてヤツの恨みを買っているんだこいつは…!!



「……は?」



私の呟いた言葉を消化しきれなかったのか。

そんな陸の間抜けな声が、茜色の空に吸い込まれていった。



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