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□スパークリング・ガール1
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確実に、私は世界で一番の不幸者だ。
そう思ったのはこれで何度目だったか。
数えるのすら気の遠くなるような回数で、考えるのはもうとっくの昔に止めた。
それくらい、私は不幸なのだ。
なぜかって。
「……うわ。」
朝登校して下足ロッカーを開けた瞬間。
私は開けたことを瞬時に後悔した。
上履きの中でギラギラと光る、画鋲画鋲画鋲。
ご丁寧に接着剤でびっしりと靴底に並べられたそれは、うっかり履いてしまったら血の海になること請け合いだ。
昨日うっかり忘れてきちゃったからなぁ…最近あまりこういうことはなかったから油断した。
原因はおそらく昨日のアレか、それとも一昨日のソレか……。
どちらにせよ、こんなことは日常茶飯事。
鞄の中から予備の上履きを取り出すと私はそれに履き替える。
剣山と化した方の上履きは、後で捨てておこう。
朝っぱらから気分急降下の中、私は重いため息を吐きながら重い足を動かして教室へと向かったのだった。
――――……
教室の扉を開ければ、突き刺さるのは女子達の痛いくらい鋭い視線だ。
今日も相変わらず、平和だなぁ。
胸中でそんなことを思いながら自分の机へと向かうと、その痛い視線をかいくぐって私に飛びついてくる小動物が一匹。
「卯月ちゃーーん!! おっはようっ!」
「うわっ……っと、おはよう玲奈。
相変わらず容赦のないタックルをかましてくれてありがとう。」
「愛の力だね!」
「ハイハイ、意味分かんないからね。
あとそれは私には重すぎるわ。骨が軋むくらいにはね。」
まるで犬のように懐いてくる彼女を思いっきり引っぺがすと、玲奈はぷぅと頬を膨らませたものの、大人しく離れた。
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