鳴門短編

□忘れ物
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近頃ナルトの様子がおかしい。

頭がおかしいのはいつものことだが、それ以上に変なのだ。

珍しくおとなしいと思ったら、急に顔を赤くしたり青くなったりしている。


「あんた何やってんのよ」


サクラが声をかけても、彼はため息をついて黙り込んでしまうだけだ。


「ハァー」


ナルトはチラっと隣のクラスを伺う。

視線の先には、同い年の女の子。

コロコロと変わる表情に、ナルトの胸は高まった。


「なんでこんなに緊張するんだってばよ」


ナルトは肩を落として項垂れた。


友達になりたい――


ただその一言がなかなか言えない。

そもそも向こうは自分のことを知らないかもしれない。


「ナルトー!!置いてくわよー!!」


遠くからサクラが呼ぶ声がする。

その隣では、サスケが不機嫌そうにしていた。


「今行くってばよー!!」


返事をして外に駆け出す。

2人に追い付くと、案の定サクラに殴られた。


「早く来いよドベ」

「ドベって言うなー!!うるさいってばよ!!」

「ちょっと!!サスケ君に謝んなさいよ!!」


再び殴られた後頭部を擦りながら蹲る。

ふと、アカデミーの窓が目に入った。

その瞬間、ナルトは弾かれたように元来た道を引き返していく。


「ちょっとナルト!?」

「忘れ物だってばよ!!」


ナルトの後ろ姿にため息をつきながら、サクラは彼の向かった先を見た。

自分達の隣のクラスには、最近ナルトが気にしている女の子ひとり。

そういうことかと、サクラは心の中で彼にエールを送る。


ナルトは自分のクラスの前を走り抜け、隣のクラスに駆け込んだ。

急に現れたナルトに、彼女は驚いた表情を見せる。


「えっと、ナルト君?どーしたの?」





隣のクラスに

(あのさ、あのさ!!)


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